▲韓悳洙(ハン・ドクス)首相/ニュース1

 韓悳洙(ハン・ドクス)首相が21日に就任から2年を迎えた。首相を2回務めたことで、その通算在任期間(2年10カ月)は1987年の民主化後では最も長くなった。ただし韓首相は同日、首相室職員らに記念行事のようなものは一切やらないよう指示したという。首相室のある関係者は「政府を取り巻く環境は過去に例のないほど厳しい状況だ。その点を首相は考慮したようだ」とコメントした。

 韓首相は4月10日の総選挙直後、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に辞任の意向を伝えたが、後任の人選は今も行われていない。与党が少数派のねじれとなった第22代国会が始まるのを前に、尹大統領は野党が同意する人物を選ぶことに慎重になっているという。そのため与党の一部からは「韓首相は今後もかなり長く首相を務める可能性も考えられる」と予想している。

 韓首相はすでに辞任の意向を表明したが、尹大統領は韓首相への信頼があつく、当初は韓首相の辞任に反対だったという。ところが韓首相は最近も側近に「第22代国会が始まり軌道に乗れば、何も思い残すことなく辞任する」という趣旨の考えを伝えているという。

 しかし韓首相は総選挙で問題となった「ネギ問題」など、政府の対応に問題があるとみられる事案についてはつい最近まで細かく原因を調べていたという。ある政府高官は「韓首相は各部処(省庁)の長官らがもう少し積極的に意思決定を行い、国民と意思疎通を行うべきと考えている」と説明した。

 韓首相は昨年夏に忠清北道清州市五松で起こった地下道水没事故、日本の福島原発放射能汚染処理水放流問題、セマングムでのジャンボリー問題など、政府の対応に問題があるとされた事案ではどれも火消し役に回ったと言われている。今年に入っても医師らによる集団行動への対応では陣頭指揮に当たった。ただし共同誘致委員長を務めた2030世界博覧会釜山誘致に失敗し、つい最近も首相直属の国務調整室など14部処が参加するタスクフォース(作業部会)が「海外通販サイトからの直接購入禁止」を進めようとしたが、「机上の空論」「現場を知らない」などの批判を受けわずか3日後にこれを撤回するケースもあった。

 韓首相は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権でも10カ月以上にわたり首相を務め、その後2022年5月の現政権発足と同時に再び首相に任命された。与党からは「少数与党の政権で首相を務める韓首相の『官運』がどこまで続くかは今後の政局に懸かっている」とも語られている。

キム・ギョンピル記者

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