コラム
LINEヤフー問題の本質は親日・反日ではない【東京特派員コラム】
BTS(防弾少年団)の熱烈なファンである日本人の知人から最近「曺国(チョ・グク)はなぜ竹島(日本人の独島に対する呼称)に行ったのか」と尋ねられた。さらに、「松本剛明総務相が伊藤博文の子孫だということも今回初めて知った」と話していた。日本では「LINEヤフー問題」がほとんど知られていない。韓国関連のニュースならば、過度に反応して記事を出す日本の新聞・テレビが今回は静かだからだ。自国の問題なのに米国のティックトック禁止法よりもはるかに報道量が少ない。
知人はBTSのファンで、韓国のニュースを見ていたら、LINEヤフー問題を知ったという。私はLINEヤフー問題の顛末を20~30分間かけて説明した。「日本政府は法的拘束力もない行政指導を通じ、事実上韓国のネイバーに株式を売却するよう圧力をかけている」と説明すると、「日本の官僚政治が韓国にも迷惑をかけた」という謝罪の言葉が帰ってきた。しかし、「誤った日本の官僚政治は悪名高いが、それがなぜ『反日』につながるのか、100年も前に亡くなった人物と何の関係があり、領土問題がそこになぜ登場するのか分からない」とも言われた。両国の当局者が会い、解決すればいい問題だからだ。政治に関心のない40代の日本人女性の意見はあまりにも正論で、何だか「韓国には反日なら何でも活用しようとする政治家がいる」とは言えなかった。理由もなく恥ずかしかったからだ。
LINEヤフー問題で日本政府の過ちは明らかだ。法治主義国家という日本が他国企業に関する事案に官治の刀を振りかざしてみだりに介入している。米国も中国起源のティックトックが懸念されるため、禁止法を作った。法治主義の手続きは守った。それに韓国は日本に少なくとも敵対国扱いされる隣国ではない。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の対応もまずかった。韓国企業が他国で不合理な待遇を受ければ、それが同盟国だとしても直ちに抗議すべきだった。本紙が4月25日、LINE問題を指摘した翌日、在日韓国大使館で慌てて総務省を訪れ、事実関係を確認したのだが、かなり遅きに失した。
だが、LINE問題の本質に関連し、ネイバーのLINEヤフー株売却に賛成すれば親日、反対すれば反日だという一部政治家の主張には賛同しかねる。最近成太胤(ソン・テユン)大統領室政策室長が「日本政府が資本構造に関連し、ネイバーの意思に反する不利な措置を取ることが絶対にあってはならない」と公式な立場を表明した。当事者であるネイバーも「株式売却は急がない」というムードだという。
韓国の立場が確固であれば、ボールは再び日本政府とソフトバンクに移る。断固たる態度で日本政府の対応を注視すべき時だ。反日を唱えるのは簡単だが、それが誰のためなのかを一度考えてみるべきだ。静まり返った日本メディアの態度は、もしかすると日本の国益を考慮しているのかもしれない。日本のメディアは最近徐々に「LINEヤフー問題の顛末」ではなく、「韓国のおかしな反日」に焦点を合わせている。日本に勝つには、日本よりも冷静にならなければならない。
東京=成好哲(ソン・ホチョル)東京支局長