▲16日、仁川空港税関特送物流センターで、中国の電子商取引(eコマース)企業などが韓国に発送した各種貨物を整理する職員たち。写真=news 1

 このほどインターネット上で生活用品の最低価格を検索してみたところ、夏の水遊び用浮き輪(90-100センチメートル)が中国の電子商取引(eコマース)企業「AliExpress(アリエクスプレス)」と「Temu(ティームー)」で2000-3000ウォン(約230-350円)台から購入可能だった。ダイソーでは同じサイズの浮き輪が5000ウォン、韓国の大型スーパー「イーマート」とeコマース企業「Coupang(クーパン)」では1万6000ウォン台だった。高速充電Cタイプケーブル、ゴム手袋、タンブラーなど、さまざまな生活用品や玩具も、AliExpressやTemuでは韓国国内の流通企業よりもはるかに安く販売していた。

 「AliExpress」「Temu」「SHEIN(シーイン)」など、いわゆる「アリティシー」と呼ばれる中国eコマース企業の襲来により、韓国の流通や産業システムが深刻な打撃を受けるのではないかと懸念されている中、韓国政府が総合対策を打ち出した。韓国政府は16日、仁川空港税関で韓悳洙(ハン・ドクス)首相の主宰により14部処(省庁)関係者が集まり、国政懸案関係長官会議を開き、「海外直購(個人が海外通販サイトで注文・購入すること)急増による消費者安全強化および企業競争力向上案」を発表した。

 政府は、韓国企業にとって「傾いた運動場(uneven playing field)」になるようにする小額輸入物品免税制度の改編を推進する。「傾いた運動場」とは、一方に有利になるような状況のことだ。これと合わせて、韓国の国家統合認証マーク「KC認証」などがない子ども用品、電気・生活用品などの輸入を禁止する案を打ち出した。低価格製品の襲来に苦しんでいる韓国企業のため、大型スーパーの早朝配送禁止などの規制を緩和するのに加えて、こうした支援策を発表した。韓国の経済界からは「韓国政府が『AliExpress』『Temu』『SHEIN』など中国eコマース企業の韓国市場攻略に対して『伝家の宝刀』を抜いたものだ」という声が上がっている。

■子ども用品、電気・生活用品の安全性が検証できなければ海外通販サイトでの注文・購入禁止

 韓国政府はまず、ベビーカーや玩具などの子ども用品34品目と、電気温水マットや電気浴槽など電気・生活用品34品目については、KC認証を受けなければ海外通販サイトでの注文・購入を禁止することにした。政府関係者は「徹底した安全管理が必要な子ども用品や、火災・感電など事故発生の恐れがある電気・生活用品に対する管理を強化することにした」と説明した。既に正式輸入手続きを経た製品はKC認証などを受けて国内で流通している。 政府は、海外通販サイトでの注文・購入でも安全性にかかわる品目に対してはプラットフォーム事業者やプラットフォームに出店している業者がKC認証を受けられるようなシステムを整える方針だ。関税当局は「X線撮影や物品情報分析などによって、KC認証の可否を判断することができる」としている。

 昨年の海外通販サイトを通じた取引額は6兆8000億ウォンに達した。かつては米国の通販サイトが主流だったが、「AliExpress」「Temu」「SHEIN」が攻撃的なマーケティングを展開したことにより、昨年は中国が海外通販サイトシェア1位(48.7%)になった。

■KCマークとは

 韓国の国家統合認証マークのこと。KCは「Korea Certification」の略だ。安全・保健・環境・品質など分野別認証マークを統一した。韓国製品だけでなく、正式な輸入手続きを経た製品もKC認証などの安全装置を経なければ韓国国内で流通させることができない。

ソク・ナムジュン記者、カン・ダウン記者

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