▲春の花祭りが行われている蔚山の太和江国家庭園。2022年5月撮影。/朝鮮DB

 順天湾(全羅南道順天市)に続き、韓国の国家庭園第2号に指定された蔚山市の太和江国家庭園が、植物の窃盗と損壊に悩まされている。春の花祭りを前に珍しい植物の花が満開になったため、こうした迷惑行為が多発しているとみられる。

 蔚山市が8日に明らかにしたところによると、国家庭園内の自然主義庭園では先週から毎日、チューリップが何十本も折られてなくなっている。チューリップは4-5月に開花する代表的な春の花で、最近は太和江国家庭園でも咲き乱れ、その景色は壮観だ。蔚山市の関係者は「一般的なチューリップもあるが、めったに見られない変わった色や模様のチューリップが多いため、折って持ち去る人がいるとみられる」と話した。

 今月1日には、韓国ではめったに見られない珍しい植物「エリンジューム」6本が根こそぎなくなっていた。エリンジュームはオランダから輸入し、植物園で6カ月から1年ほど育ててから太和江国家庭園に運ばれて植えられる。欧州とは気候や土壌が異なるため、管理には非常に労力が掛かるという。韓国では見られない花であることから、これも何者かがこっそり持ち去ったとみられる。

 太和江国家庭園内にある十里竹林の孟宗竹(モウソウチク)群生地でも毎年、タケノコが盗まれて関係者を悩ませている。

 今月2日には、成長中のタケノコ15本が切られてなくなっているのが見つかった。孟宗竹は韓国で見られる竹の品種の中で最も太い。全羅南道潭陽郡に生える竹「淡竹(ハチク)」は直径10センチだが、孟宗竹は20センチから最大で30センチに達する。高さは10-20メートルにもなる。タケノコは4月ごろから地上に出始めるが、食材として使われるため常に窃盗の標的になっている。

 蔚山市の関係者は「タケノコを守る担当者が午後6時から午後11時半までパトロールしているが、パトロールが終わった後、人けの少ない深夜に犯行を働いているとみられる」として「毎年5-6本なくなっているのを見かけるが、今年は例年より多く持ち去られた」と話した。

 太和江国家庭園で植物が盗まれるのは今回が初めてではない。菊などの草花はもちろんのこと、ムクゲやイブキなど大きな木も持ち去られた。春の花祭りなどのイベントに向けて設置した物が無くなることもあった。

 蔚山市は盗難防止のために、防犯カメラを約120台設置し、注意を促すボードも立てた。しかし川沿いに造成された開放型の庭園である上、サッカー場117面分という広大な敷地(25万4100坪=約84万平方メートル)を擁しているため、対策には限界がある。実際に、窃盗被害が何年も続けて発生しているにもかかわらず、摘発されたケースはいまだに1件もない。

 蔚山市の関係者は「太和江国家庭園は全ての市民のための庭園」だとして「一部の非常識な人々によって国家庭園のイメージが悪化するのが心配だ」と話した。その上で「予算を確保し、防犯カメラを追加で設置するとともに、違法行為については摘発時に強力に対処する方針」と語った。

 太和江国家庭園で違法に植物を採取したり損壊したりした場合、「樹木園・庭園の造成および振興に関する法律」第18条の8(庭園での禁止行為)、「刑法」第366条(財物損壊など)および第329条(公共財窃盗)に則り処罰対象となる。

キム・ジュンホ記者

ホーム TOP