5月2日、江原道平昌郡の雲物理先導観測所から1機の無人機(ドローン)が飛び立った。すぐに、地上30メートルの高さまで上がったドローンで火花がはじけて煙が出始めた。ドローンが空中で「雲の種」をまいているのだ。「雲の種」にはヨウ化銀・塩化ナトリウム・塩化カルシウムなどの物質が用いられる。雨を降らせたり、降りやませたりしたい雲に、こうして雲の種をまいてやると、周囲の水の粒がくっつく核の役割を果たして水滴になる。水滴は徐々に重くなって地面に落下し、雨または雪になる。人間が介入して人工的に雨や雪を降らせる技術を「人工降雨」という。

 韓国は2006年、大関嶺に雲物理先導センターを置き、17年に気象航空機が韓国に導入されたことで人工降雨技術の研究へ本格的に参入した。気象航空機を飛ばすと、航空機の左右の翼から12発ずつ、計24発の燃焼弾を空中で燃やすことができ、ドローンよりも広い面積で実験ができる。また、雲の種をまくと同時に、実際どれくらい多くの雲の種が水滴になり、雨が降ったかをリアルタイムで確認できる。韓国気象庁は今年、予算38億ウォン(現在のレートで約4億3000万円)を増額して、来月に航空機2機を追加導入する計画だ。韓国気象庁の関係者は「より広い地域で人工降雨実験ができるものと予想される」と語った。

 韓国の人工降雨技術はまだ実験・研究の段階で、実用化までの道のりは遠い。だが人工降雨実験で実際に雨や雪が降ったことが確認された比率は、2020年の65%から、昨年は86%まで高まった。兪熺東(ユ・ヒドン)気象庁長は「山火事の調節、微小粒子状物質の低減などに人工降雨技術が少しずつ効果を上げている」とし「引き続き挑戦して研究を続けるべき」と語った。

キム・ユンジュ記者

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