▲成好哲(ソン・ホチョル)東京支局長

 今月2日午後2時ごろ、韓国メディアの東京特派員団はチャットで緊急の会議を開いた。日本の総務省が「今日3時に担当課長が韓国メディア1社との電話インタビューに応じる」と提案してきたからだ。電話ができるのは1人だけで、その内容を韓国特派員らが「フル共有」し、韓国国民に日本の立場を伝えるよう求めたのだ。「日本がネイバーからLINEの経営権を奪おうとしている」との指摘に対して日本が説明を行うため、取材する価値は十分あるが、東京特派員団は「電話ではなく会見かブリーフィングを希望する」として拒否した。

 その理由は、1人との電話インタビュー形式の場合、その韓国メディアが総務省の立場を代弁する形で終わる懸念が強かったからだ。総務省は韓国大使館職員らが訪問した際「行政指導の文言を見ると分かるが、ネイバーに対してLINEヤフーの株を売れと要求する言葉はどこにもない」という主張を繰り返した。行政指導には「委託先(ネイバー)から資本的支配を強く受ける関係の再検討を含む、経営体制の再検討」という趣旨の内容が記載されていた。総務省は「再検討をいかに行うかは民間企業が自ら考えて行うこと」と説明している。ネイバーは日本のソフトバンクと共にLINEヤフーの持ち株会社であるAホールディングスの50%の株を保有しているが、1株でも譲渡すると経営権を失う。

 会見が開かれた場合、東京特派員団は総務省に「ネイバーが経営権を失わない形とは違った別の再検討とは何か」と必ず質問したかった。その回答を避けるのであれば、その様子を記録する責任もあると考えていた。

 東京特派員団が電話インタビューを拒否した直後、総務省はその日のうちにソウルのあるメディアに電話をかけ、予想通り「日本の総務省当局者『LINEヤフーへの行政指導は株式売却の強制ではない』」という記事が出た。残念なことは総務省の無礼な対応だけではない。駐日韓国大使館に問い合わせたところ、「韓国国内の反日世論が根強いので、電話ででも韓国メディアに誤解だと伝えてほしい」と総務省に要請したのは他でもない、韓国政府だったという。東京特派員団が電話インタビューを拒否した直後、総務省とソウルのあるメディアとの橋渡しをしたのも韓国外交部(省に相当)だった。韓国政府の官僚たちは「韓日関係改善という尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の治績を消してはならない」と戦々恐々としており、また日本の総務省は担当課長からの一本の電話で「友好国からの要請を受け入れた」と恩着せがましく考えたはずだ。

 駐日韓国大使館のある担当者は記者に「韓日関係改善を最も喜んでいたあなたがなぜ問題を起こそうとするのか」と問い詰めてきた。「敵対国に対するように…日本、韓国IT企業に『株を売って立ち去れ』」(4月25日付)という見出しの記事で、この問題に火を付けたのは本紙だからだ。その質問に記者は「日本と利害関係を同じくするのであれば、同じ声を出すことが韓国の国益だ。韓国の国益を害してまで韓日関係改善を喜ぶことはできない」と答えた。その上で記者は「尹錫悦政権もそうではなかったか? 日本と親しくなること、それ自体が目的だったのか」と改めて問い返した。

成好哲(ソン・ホチョル)東京支局長

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