在韓米軍
米CNN「トランプ前大統領、在韓米軍の駐留経費負担巡り少なくとも32の誤った主張」
米共和党の大統領選候補であるドナルド・トランプ前大統領がこのほど米時事週刊誌タイムのインタビューを受けたが、その内容が「ウソだらけ」と指摘されている。CNNは5日、「トランプ前大統領は少なくとも32の誤った主張をした」と報道した。その中には「韓国は(在韓米軍の駐留経費として)何も払っていない」という主張もあった。韓国は昨年、防衛費分担金として1兆2896億ウォン(約1460億円)を支払い、2026年から適用される韓米防衛費分担特別協定(SMA)を締結するための交渉を先月から米政府と行っている。
このインタビューで「(大統領選挙で当選したら)在韓米軍を撤収するのか」という質問に、トランプ氏は「韓国が我々に対して適切に待遇をするよう願う。我々が韓国に駐留させている4万人の兵力に対して、彼らは何の対価も支払っていないので(防衛費分担)交渉をした」と答えた。このうち「4万人の兵力」と「韓国が何の対価も支払っていない」という部分は事実ではない。
米議会は2019年から昨年まで国防予算を規定する国防授権法(NDAA)に在韓米軍の兵力規模維持を注文する条項を盛り込んだが、同法に明記されている在韓米軍の現在の規模は約2万8500人だ。兵力の移動と交代によって若干の変動はあるが、概ね3万人前後にとどまっている。
韓国はまた、1991年からSMAに基づき在韓米軍駐留経費を分担している。1980年代まではトランプ氏の言葉通り、米国がすべての駐留経費を負担していた。1967年に発効した在韓米軍地位協定(SOFA)第5条で「韓国は飛行場や港などを含め、米軍の駐留のための施設と区域を提供し、残りの米軍の維持に必要なすべての経費は米国が負担する」と規定したためだ。しかし1991年に米国の財政悪化と韓国の経済力成長を反映させた「特別協定」を締結し、韓米での費用分担を始めた。
トランプ氏はインタビューで、「(私の要求に応じて)韓国は米軍駐留の対価として数十億ドルを支払った。彼らはバイデン政権発足後、再交渉をしてこれを以前の水準に引き下げ、ほとんど何も払っていないと聞いた」と言ったが、これも事実ではない。
韓米はトランプ政権時代の2019年9月に分担金交渉を始めたが、トランプ氏が「50億ドル(当時の為替レートで約6460億円)を出せ」と要求したため合意に至らなかった。バイデン政権が発足した2021年3月になってやっと交渉が妥結したが、はじめは韓国が前年より13.9%増加した分担金を支払い、2022-25年には韓国国防予算上昇率に連動して防衛費分担金を引き上げることになっている。
金真明(キム・ジンミョン)記者