IT産業
ネイバーへの圧力を強める日本政府、2度の行政指導に続き韓国政府に調査を要求していた【独自】
日本の国民メッセンジャーLINEを運営するLINEヤフーが昨年サイバー攻撃を受け情報が流出した問題で、日本政府はLINEヤフーに2回にわたり行政指導を行ったが、それに加えて日本政府は先日、韓国個人情報保護委員会にもネイバーに対する調査を要請していたことがわかった。LINEヤフーの親会社であるAホールディングスはネイバーと日本のソフトバンクが50%ずつ株式を保有している。日本政府はLINEヤフーに対するネイバーの影響力を弱めるため、「株式売却」に加え「サイバー攻撃に対する追加調査」を要求するなど、圧力を一層強めている。
IT業界関係者や韓国個人情報保護委員会などが1日に明らかにした。それによると日本政府は先月、韓国個人情報保護委員会に電子メールを送付し、LINEヤフーの個人情報流出事件と関連してネイバーに対する調査を要求したという。LINEヤフーのサーバーはネイバーが管理を行っている。IT業界の関係者は「サイバー攻撃が起こってからすでに半年近く過ぎ、必要な対応はすでに終わったのに日本政府が改めて韓国側に調査を要求するのは異例」とした上で「すでに日本政府は行政指導を通じてネイバーに『LINEヤフーの経営から手を引け』というシグナルを送ったが、その後もさらに圧力を強めているようだ」と説明した。
日本政府が友好国である韓国の企業に対して圧力を加える背景には、日本国内でLINEが70%以上という圧倒的なシェアを持つことが上げられる。LINEを使う日本人の個人情報を韓国企業のネイバーが利用することを日本政府は懸念しているようだ。日本政府の圧力を受けLINEヤフーもセキュリティシステムなどでネイバーとの従来の協力関係の見直しを進めている。
日本政府は先日、韓国個人情報保護委員会に電子メールを送付し「韓国でLINEヤフーと関係する個人情報がしっかりと管理されているかネイバーなどに確認してほしい」という趣旨の要請を行ったという。韓国政府が独自の調査を終えた後に日本政府が追加の調査を要求するのは異例だ。
■一層高まる日本政府の圧力
日本政府が韓国個人情報保護委員会にネイバーなどの調査を求めた理由は、LINEヤフーに対するサイバー攻撃が韓国ネイバーのクラウド(仮想サーバー)を通じて行われたためとみられる。昨年9月にネイバー・クラウドとLINEヤフーが同時に業務を委託している韓国企業のサーバーがウイルスに感染し、これを通じてハッカーが日本のLINEヤフー社内のシステムに侵入した痕跡が発見された。
通常このようなケースではまず必要な対策が求められ、罰金など法的処罰が下されて終わる。ところが日本政府はLINEヤフーに対する2回目の行政指導で「ネイバーとの持ち株関係の見直し」を要求した。LINEヤフーの親会社Aホールディングスの株式はその50%をネイバーが保有しているが、これをソフトバンクに譲渡するよう日本政府は求めているのだ。その理由について日本政府は「韓国企業であるネイバーが株式の半分を所有しているため、LINEヤフーによるサイバー攻撃への対応は不十分」と指摘している。
日本政府の要求に韓国個人情報保護委員会は応じなかった。今回のウイルス感染によるサイバー攻撃が韓国で起こったのは事実だが、韓国国内では個人情報の流出が確認されておらず、必要な対応も終えたからだ。韓国科学技術情報通信部(省に相当)は昨年問題のサイバー攻撃が起こった直後、韓国インターネット振興院(KISA)を通じて現地調査を行った。その際システムがウイルスに感染していたことが確認されたため、その対策を行った上でネイバー・クラウドにアクセスしていた韓国企業を全て調査したところ、個人情報流出などの被害は確認されなかった。韓国個人情報保護委員会の関係者は「日本政府は実務次元で調査を求めてきた」とした上で「この問題は昨年11月に起こったものだが、今になって調査を求められても対応が難しく、韓国国民の個人情報流出の危険性も確認されなかったので断った」と説明した。
日本政府の圧力を受けLINEヤフーはネイバーとの分離作業を進めている。すでにネイバーとネイバー・クラウドとのアクセスの一部は遮断され、ネイバー・クラウドに委託してきたサーバー管理やメンテナンス委託業務も段階的に終わらせる予定だ。またネイバーのシステムと完全に分離するための作業も近く開始する予定で、2026年までには終わらせるという。LINEヤフーは日本の個人情報保護委員会に提出した再発防止策の報告書で「(ネイバーとのシステム分離などを)早期に完了できるよう引き続き検討を進めていく」と明らかにした。
■ネイバー「内部で検討中」
ネイバーもすでにソフトバンクとの交渉を始めているが、今後の対応については頭を痛めているようだ。LINEヤフーの持ち株会社Aホールディングスのネイバーが所有する株式については、すでにソフトバンクも買い取りの意向を伝えているという。ネイバーは今の持ち株を今後も保持し続けるか、あるいはやむなく売却するとすれば、いかなる条件を提示するかなど、あらゆる選択肢を検討しているようだ。上記のIT業界関係者は「ネイバーはこれまでLINEの開発、運営、メンテナンスまで全てを行ってきたので、ネイバーの技術がなければLINEの経営は難しい」「株を売却するとしても、これらの技術まで売却するか、あるいは技術のライセンス料を受け取るかなど、最大限有利な方向を見定めた上でネイバーは決定を下すだろう」と予想した。
一方今回の問題で韓国政府は現時点で何の動きも示していないが、駐日韓国大使館を中心に状況を把握し対応策を検討しているという。ただこの問題が韓日間の外交問題に発展することだけは避けたいようだ。中央大学経営学部の魏晶玄(ウィ・ジョンヒョン)教授は「ネイバーが日本政府に対抗することはできないので、韓国政府が関連するタスクフォースを立ち上げるなど、より積極的に動けばネイバーもより有利な形で交渉を進めることができるだろう」と指摘した。
ファン・ギュラク記者