▲大学病院の一部教授らが休診に入った影響で、ソウル市内のある大学病院窓口前では多くの患者や保護者らが待機していた。30日撮影。/ニュース1

 大学医学部定員増を巡り韓国政府と医療関係者の対立が続く中、司法も定員増の根拠の提示を求めた。裁判所は政府に対し▲医学部定員増に関する資料の提出▲医学部募集定員の最終承認保留-を要求した。医学部定員を巡る問題とそれによる混乱が一層激しくなるとの懸念も浮上している。

 大学医学部教授、研修医、医学部学生、医学部受験生ら18人が韓国保健福祉部(省に相当、以下同じ)長官と教育部長官を相手取って起こした医学部定員増の執行停止を求める二審での尋問で、ソウル高等裁判所行政7部(ク・ファグン裁判長)は30日「5月中旬までに結論を出したい」とした上で「それまでに医学部募集定員の最終承認を先送りしてほしい」と求めた。政府が医学部定員を2000人増やすとした科学的根拠が記載された資料の提出も要請した。裁判長は「2009年に法学専門大学院(ロースクール)制度が始まる前に現場では厳格な検討が行われた」とした上で「人材面や物的施設の調査をしっかりと行った上で各大学に医学部定員を配分したのか」「支援はどう行うのか」「予算は十分か」などを確認したいとして「現場で行った調査に関する資料」や「関連する会議の議事録」などの提出を求めた。

 裁判長が執行停止申請の審問中に行ったこれらの要求に強制性はない。しかし政府はこれまで司法の判断を尊重し、裁判で裁判長からの要求はほぼ受け入れてきた。韓国教育部も「保健福祉部と協議し、裁判長が要求している資料などをしっかりと準備したい」とコメントした。

 裁判長が5月中旬までに執行停止申請を受け入れない場合、現在執行が停止されている医学部定員増の手続きに特に問題はなさそうだ。来年度の医学部定員などが記載された大学入試施行計画については多くの大学が30日に韓国大学教育協議会にすでに提出している。同協議会が審査を行った上で計画が5月末までに確定すれば、その数字が各大学の受験生や父兄らに公表される。韓国教育部の関係者は「5月末までの審査に必要な時間は十分あるので、入試に向けた手続きに特に影響はないだろう」と予想している。

 ただしもし裁判長が執行停止申請を受け入れた場合は話が違ってくる。そうなると現在ソウル行政裁判所で一審の審理が続く本案の判決が出るまで政府は医学部募集定員の最終承認ができなくなる。この裁判に詳しい専門家は「可能性は低いが、裁判長が申請を受け入れれば政府が進める2000人増員に司法がブレーキをかける形になる」と指摘した。

 一審を担当したソウル行政裁判所行政4部(キム・チョンジュン裁判長)は3日「医学部教授や学生などはこの問題の直接の利害当事者ではない」との理由で執行停止申請を却下した。これに対して二審の裁判長は一審の決定について「定員が増えれば処分の直接の対象者である大学総長が法廷闘争に巻き込まれる可能性はないだろう」としながらも「そうなれば国が医学部の定員を増やそうとした場合、誰も争えないことになり、司法による審査や統制もできなくなる」と指摘した。その上で裁判長は「全ての行政行為は司法の統制を受けるべきだ」として執行停止申請の審理を行うことを決めた。

表泰俊(ピョ・テジュン)記者

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