▲現代自動車が25日、2024北京国際モーターショーで、オールニューサンタフェ(現地名・第5世代勝達)を中国市場で初公開した。下半期に正式に発売する予定だ/北京=李伐飡特派員

 「現代・起亜車は『韓国車』なので、中国市場の拡大は難しいと思う」

 北京で25日に開幕した「北京国際モーターショー」の会場で出会った中国のジャーナリスト、インフルエンサー、自動車業界関係者は異口同音に現代自動車と起亜の中国市場での不振をそう診断した。現代自の中国での販売台数は、2016年の114万台から昨年は24万台にまで減少し、現代自の中国法人である北京現代の昨年の売上高(4兆7632億ウォン=5400億円)は、2016年(20兆1287億ウォン)に比べ76.3%も急減した。会場で現代自と起亜はそれぞれのブースで中国市場を狙ったプレミアムモデルと高性能電気自動車(EV)をお披露目した。現代自は高性能「N」ブランドの「アイオニック5N」モデル、起亜は準中型電気SUV「EV5ロングレンジ」を公開した。

 中国版ティックトックの「抖音(ドウイン)」で121万人のフォロワーを持つインフルエンサー「トゥンインブロ」は、現代・起亜自の中国での実績が低迷している理由について、「車は問題がないが、『韓国』という国家ブランドが足を引っ張っている」と診断した。は「自分のアカウントのコメントを見ただけでも、悪化した韓中関係によって韓国車を否定的に評価するケースが大半だ」と指摘した。中国の動画共有サイト「嗶哩嗶哩(bilibili)」で81万人フォロワーを持つ30代のインフルエンサー「カオルオシャン」は「現代自と起亜は他の外車に比べて国家ブランドが弱い上、『内巻(ネイジュアン・内部競争)』が激しい中国自動車市場で価格競争力も失っている」と述べた。中国の自動車専門メディアのシン・チュン記者(27)も「(韓国に対する中国の否定的な感情と政策など)政治的理由が韓国車ブランドの価値を落とした」と指摘した。

 現代自・起亜の品質に対する評価は概して友好的だった。シン記者は「現代自・起亜はコストパフォーマンスが良く、品目が多様で、中国に長く根付いた経歴が強みだ」とし、「過去には北京の警察や公共機関が公用車として多く使用し、品質に対する評価自体は高い」と述べた。トゥンインブロは「確実な『コストパフォーマンス』が韓国車の強み」だとし、「中国市場で新たに発売されるサンタフェは性能からみてコストパフォーマンスが高く、現代自の主要モデルはトヨタなど日本ブランドと比べても完成度と性能が優れているという認識も次第に広がっている」と評した。さらに、「モーターショーで異例にも現代自・起亜のブースが混雑しているが、韓国車が持つコストパフォーマンスという武器が有効であることを示している」と語った。カオルオシャンも「先月、韓国でNブランドを試乗したが、走行モードの選択次第で運転経験が180度変わることに驚いた」と話した。

 中国自動車業界関係者のSさん(40)は、「(今年下半期に中国で発売予定の)現代自『勝達』(オールニューサンタフェ)をはじめ、最新モデルは依然としてデザインが美しい」と述べた。しかし、Sさんは「スマート化の面では中国のEVなどに比べ劣るように見えることが弱点だ。現代自・起亜は先端技術分野でリードしているというイメージをつくる必要がある」と述べた。

 今後現代自・起亜が中国市場で再飛躍するためには、ブランドイメージの刷新が急がれるとの声が聞かれた。 カオルオシャンは「中国では『製品ストーリー』をしっかりつくる必要があるが、外国車はそういう部分で弱い。中国の消費者の心を動かすメッセージがなく、ただ安いだけでは勢力図を変えることはできないだろう」と述べた。シン記者は「現代自が今年下半期に発売する高性能アイオニック5Nは性能は素晴らしいが、価格が高いため、マニア層の形成にとどまりそうだ。他の韓国車モデルも飽和状態の中国自動車市場でのポジショニングが明確ではない」と分析した。

 ただ、モーターショーを訪れた北京の大学生Hさん(22)は「小学生の時は現代自はタクシー専用車、退屈な車という固定観念があったが、最近はトレンディーになっている。洗練された配色とデザインで若者の関心が高まっている」と評した。

 モーターショーのブースで会った現代自関係者は「中国で発売する新モデルは販売台数の拡大よりも現代自のブランド価値向上が主な目標だ」とし、「中国自動車市場でEVのシェアは数年以内に50%を超える見通しなので、EV需要を積極的に攻略する戦略も維持する」と説明した。

北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員

ホーム TOP