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穴から脱出する囚人を警察が手助け? 実は「脱獄犯の検挙」だった /ベネズエラ
ベネズエラの都市マラカイボの警察署で、留置場の壁に穴を開けて脱出を試みた収監者約20人が、壁の外にいた警察官らに見つかって捕えられた。SNS(交流サイト)では、この様子を収めた動画を見て「警察が脱出を助けているように見える」と誤解する人も続出した。
スペイン・メディア「ラ・ベルダード」など外信によると、事件は今月17日(現地時間)、ベネズエラの都市マラカイボの警察署で発生。収監者らが留置場の壁に穴を開けて脱出を試みたが、ちょうどそのとき警察官約30人が警察署のグラウンドでワークショップに参加していたという。収監者らは、ワークショップで警備がやや手薄になっていた隙に留置場の壁に穴を開け、グラウンドから脱走しようとした。収監者らは力を合わせ、壁に人間一人が抜けられるぐらいの小さな穴を開けた。
しかし、その壁はグラウンドに隣接しており、グラウンドにはワークショップに参加する警察官が集まっていた。そのため、穴から抜け出そうとする収監者の姿が警察官たちに見つかってしまった。ワークショップに参加していた警察官は銃器を持っておらず、収監者らが武装しているかどうか確認できなかった。警察官たちは仕方なく、穴から姿を見せる収監者らを引っ張り出しては一人ずつ検挙した。
幸い、穴が小さく脱出に時間が掛かったため、警察官たちは状況を統制することができたという。警察の関係者は、収監者らを一人ずつ取り押さえたと話した。脱獄に関わったのは数十人に達するという。警察は「収監者らを制圧しやすい状況ではあったが、武器を持っている警察官がいなかったため緊張した」と説明した。
実際にマラカイボの警察署で撮影された動画は、警察官が収監者たちを一人ずつ検挙する様子が収められている。しかしこの様子は、警察官たちが収監者の脱出を助けているようにも見え、一部のSNSでは誤解する人も出た。警察が収監者を制圧している場面だということが分かった後も、留置場のセキュリティーに対する批判が上がった。
警察署側は、今後は脱獄防止と拘禁施設のセキュリティー強化のために必要な措置を取ると表明した。警察の関係者は「収監者らが武装しているかどうか確認できず、銃を持って留置場に突入すればさらに騒動が大きくなりかねないと判断し、穴から出てくる収監者を一人ずつ取り押さえた」として「事件が再発しないよう留置場の監視をいっそう強化する」と説明した。
イ・ヘジン記者