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北朝鮮が短距離弾道ミサイル数発発射 「超大型放射砲」か
【ソウル聯合ニュース】韓国軍合同参謀本部は22日、北朝鮮が同日午後3時1分ごろ、平壌から朝鮮半島東の東海上に向けて短距離弾道ミサイルとみられる数発の飛翔(ひしょう)体を発射したと発表した。
北朝鮮が国連安全保障理事会決議で禁じられている弾道ミサイルを発射するのは今月2日以来となる。19日に北朝鮮は黄海に向け戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)」の「超大型弾頭」の威力を確認する実験と新型地対空ミサイルの発射実験を行っている。
韓国軍は22日のミサイルについて、約300キロを飛行して東海上に落下したと明らかにした。軍はさらなる発射に備えて監視・警戒体制を強化し、米国・日本の当局と関連情報を共有しているとした上で「朝鮮半島の平和と安定を深刻に脅かす明白な挑発行為であり強く非難する」として、「強固な韓米連合防衛体制の下で北のさまざまな活動を注視しながら、いかなる挑発にも圧倒的に対応できる能力と態勢を維持する」と強調した。
今回発射されたミサイルは、北朝鮮北東部の咸鏡北道吉州郡沖にある無人島の方向に飛行したもようだ。飛行距離から、韓国にある主な軍事施設への攻撃を念頭に置いたものとみられる。平壌から韓国の陸・海・空軍の本部がある中部・鶏竜台までの直線距離は約330キロ、南西部・群山にある在韓米軍の第8戦闘飛行団までは約350キロだ。
韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ専門研究委員は「飛行距離と時間を考慮すると、性能改良のために600ミリの超大型放射砲(多連装ロケット砲)を発射した可能性がある」と述べた。
韓国政府系シンクタンク・統一研究院の洪珉(ホン・ミン)先任研究委員は「北が(朝鮮労働党の)第8回党大会で提示した軍事目標のうち、不十分な部分について(推進に)拍車をかけ、11月の米大統領選の前までに最大限多くのものを見せようとするだろう」と予想した。
超大型放射砲は19年8月25日、北朝鮮メディアに初めて登場した。韓米情報当局は400キロに迫る射程距離や誘導機能などから短距離弾道ミサイル(SRBM)に分類している。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)は22年12月31日の演説で「南朝鮮(韓国)全域を射程に入れており、戦術核の搭載が可能な攻撃型武器」と説明した。
21年1月の第8回党大会では「目的と打撃対象に応じて多様な手段に適用できる戦術核武器」を開発すると明らかにした。北朝鮮が進めている核弾頭の小型化が成功すれば、超大型放射砲も核弾頭の搭載対象となる。