中国企業バイトダンスを親会社とする動画投稿サイト「TikTok」を禁止する法案が米国議会で審議されているが、この問題で在米中国大使館が米議会に対し様々な方法でロビー活動を行っていることがわかった。米国の政治専門メディア「ポリティコ」が17日に報じた。TikTokはこれまで中国政府との関係を否定してきたため、今回の報道はかなりの波紋を引き起こしている。米議員らは「これこそ共産党の影響下からTikTokを分離すべき理由だ」として上院で審議中の法案を早期に成立させるよう求めた。

 米議会下院では先月民主党・共和党双方の合意でいわゆる「TikTok禁止法」が通過したが、それを前後した時期から上下院議員の秘書らに対して中国大使館が接触を試みていたという。TikTok禁止法はTikTokが米国で引き続き活動を続ける条件として、中国系の親会社であるバイトダンスが保有する株式を売却するよう要求している。一部議員に対して実際にロビーが行われた際、中国側は「バイトダンスに投資した米国の投資家が損失を被る」「中国ではなく他国と関係する企業でもこんなことをしたのか」など法案への不満を訴えたという。TikTok本社はシンガポールとロサンゼルスに拠点を置いているが、TikTokについては「中国企業」という表現を使っている。ポリティコが伝えた。

 報道を受け在米中国大使館の劉鵬宇・報道官は「一つの企業(TikTok)のためだけのロビー活動ではなく、中国企業も公正な待遇を受けるべきというのが(接触の)ポイントだった」「こちらは真実を伝えようとした」と訴えた。TikTokは先月の法案通過を前後した時期から数百万ドル(数億円)の資金をロビー活動に使い、法案に反対するキャンペーンを行っている。その過程で数百万人のフォロワーを持つインフルエンサーらも動員されたが、その際中国側は「数百万人の自営業者による経済活動がTikTokを通じて行われている」という論理を全面に出した。また法案に賛成した議員らの事務所には反対を訴える電話を数千回かけていたという。

 TikTok禁止法は現在上院での採決を残しているが、今後は上院商業委員会の委員長を務めるマリア・キャントウェル議員が鍵を握っているようだ。中国大使館によるTikTok関連のロビーが報じられると、共和党所属のマイク・ギャラガー下院議員は「全く驚くべきことではない」「共産党がこのプラットフォームの統制に執着すればするほど、TikTokを共産党から引き離すべき理由がさらに強くなる」と指摘した。民主党のジェイク・オーキンクロス下院議員は「TikTokと中国政府の間に何のコネクションもないのなら、なぜ大使館が動くのか」「反作用を引き起こして最終的に法案は成立するだろう」と予想した。

金隠仲(キム・ウンジュン)記者

ホーム TOP