▲イラスト=UTOIMAGE

 4月3日、台湾東部の花蓮県でマグニチュード(以降M)7.2の強い揺れを伴う地震が発生した。これは一体どれくらいの規模なのだろうか。「立っていることができず、はって移動しなければならない」状態だという。市民たちにとって出勤、登校時間帯だったため、ソーシャルメディアには、バイクに乗った人々が崩壊したビルを眺めている様子、右往左往しながらおびえている様子などが次々とアップされた。震源から約150キロ離れた首都台北でも、歩くのに支障があるほどの揺れが観測された。

 刺激的な写真や映像だけを見ていると、災難は恐ろしい。しかし、注目すべき点は地震の規模に対する死傷者数だ。今回の地震による死亡者数は16人(4月12日現在)と集計された。2016年にM6.4の地震で116人が死亡したのと比べると、犠牲者ははるかに少ない。人命被害を劇的に減らすことができた理由は、台湾が多くの努力を傾けてきたからだ。

 台湾社会に警鐘を鳴らしたのは1999年、中部の南投県の集集エリアで発生した地震だった。真夜中に襲ったM7.7の強震は、2415人の人命を奪った。しかし、廃虚と化した地域でも、台湾国民は力強く立ち上がった。その後、台湾当局は建築法を改正し、耐震設計基準を強化した。床や壁を補強しようとする個人所有のビルのオーナーには補助金を支給し、地震早期警報システムを構築するなど、徹底した備えに乗り出した。その年、地震が発生した9月21日を全国災難訓練の日として指定した。

 今回の台湾地震のニュースが伝えられると、世界最大のファウンドリー(半導体委託生産)であるTSMCの被害に対して全世界の視線が集中した。TSMCの工場が打撃を受けた場合、世界の半導体需給に支障を来しかねないためだ。しかし、TSMCは耐震設計と速やかな従業員待避などで設備および人命被害を最小限にとどめ、震災の2日後には工場を再稼動した。台北観光のメッカである超高層複合ショッピングモール「台北101」も、内部に設置された660トンのダンパー(地震低減装置)のおかげで、無事だった。

 韓国は台湾のように「地震地帯」に属していないため、そう頻繁に発生するものではないが、安全地帯とも言い切れない。韓国は1999年以降、M2以上の地震が年平均で70.6回、M3以上の地震は年平均で10.5回発生した。韓国国内での地震は、2016年に慶尚北道慶州市(M5.8)で、17年に慶北道浦項市(M5.4)でそれぞれ発生してから急増し、その後減少したものの、最近再び増加している。今年だけでもM2以上の地震が17回発生した。

 韓国政府は浦項地震以降、耐震設計の義務対象を拡大するなど対策を打ち出しているものの、依然として道のりは遠い。昨年上半期基準で、全国の耐震設計対象建築物のうち、耐震設計が施された建築物は16.4%に過ぎなかった。民間の建築物だけを見ると、耐震設計の割合はさらに低下する。耐震設計は最も基本的な地震対策だ。いつまたM5以上の強震が朝鮮半島を襲ってくるか分からないのだ。

キム・ナヨン記者

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