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金日成主席生誕日を「太陽節」と呼ばず 韓国当局「名称変更と暫定判断」
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が最も重要な記念日とする故金日成(キム・イルソン)主席の誕生日(4月15日)の正式名称を、従来の「太陽節」から「4・15」に変更したもようだ。韓国統一部の当局者は16日、記者団の質問に「今年の状況から、名称を変更したものと暫定判断する」と答えた。
金日成氏は1994年に死去した。北朝鮮は97年に主要5機関の共同決定書を採択し、金日成氏の誕生日を「太陽節」に制定。その後は毎年、太陽節を祝ってきた。
ところが今年、故金正日(キム・ジョンイル)総書記の生誕記念日(光明星節、2月16日)翌日の17日を最後に、官営メディアは「太陽節」という言葉を使っていなかった。金日成氏の生誕記念日を迎えた4月15日、朝鮮労働党機関紙の労働新聞は題字の下、「慶祝」の枠に例年の「太陽節」に代えて「4・15」と記した。この日の紙面で「太陽節」の表現を使った記事は1本だけで、16日付紙面では全く見られなかった。
韓国統一部の当局者は「北の公式メディアが『4・15』または『4月の名節』などと呼んでいる」し、「意図的に(太陽節を)言い換えるか削除している」と指摘した。
その背景は定かでないが、金正恩(キム・ジョンウン)政権発足後、金日成氏の神格化の変化が指摘されている。金正恩氏は2019年3月、宣伝部門宛ての文書で「首領(金日成氏)の革命活動と風貌を神秘化すれば真実を隠すことになる」と言及した。
北朝鮮は昨年末から南北関係を「敵対的な二つの国家」「交戦国の関係」と位置付け、対韓国政策の転換を図っている。統一に関しては先の時代の業績も含め、消し去ろうとしている。
北朝鮮での報道をみると「主体朝鮮の太陽 金正恩将軍」という表現が見られる。正式な発表はないものの、金正恩氏の存在感を際立たせる狙いがありそうだ。
「太陽節」だけでなく、「光明星節」という言葉も今年2月以降は用いられていない。
統一部の当局者は「北の思惑を正確に把握するには、来年の金正日誕生日後まで見守る必要がある」と話した。