経済総合
麻辣燙・糖葫蘆の次はミルクティー…韓国外食業界に食い込む中国フランチャイズ店
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4月初め、ソウル市江南区大峙洞のハンティ駅近くでは、青いパンダのキャラクターが描かれた店がランドセル姿の子どもたちで混み合っていた。中国のミルクティーフランチャイズ「茶百道」が韓国に開設した海外1号店だ。
この店の代表メニューはサゴ入りの果実飲料である「マンゴーポメロサゴ」だ。サゴとはサゴヤシから抽出した澱粉を小さな球状にしたものだ。キャッサバのでんぷんで作るタピオカよりも小さく、カエルの卵のような見た目と独特な食感が特徴だ。
中華圏と東南アジアではスイーツの大衆的な食材で、最近ユーチューブやティックトックなどを通じ、韓国でも関心が高まった。
しかし、取材した日にはサゴ入りの飲料は注文できなかった。サゴだけでなくココナッツ、ゼリーなどのトッピング材料が品切れとなり、販売できないメニューが多かった。従業員は「注文が多い日はサゴが早くなくなる」と話した。
注文はキオスクで行う。タピオカをトッピングしたラテを5600ウォン(約630円)で注文した。「10分待ち」と言われたが、提供までに20分以上かかった。平日の午後だったが、注文はひっきりなしだった。
■江南の10代を魅了した中国のミルクティー
茶百道は2008年、中国・成都に開業。中国全土で8000カ所以上の店舗を運営している。昨年の売上は2兆ウォンに達した。同社は昨年8月、香港取引所に株式上場を申請し、今年1月に海外1号店をオープンした。
茶百道が知名度のある中華圏や東南アジアではなく、ソウル・江南に海外1号店を出したのは、高級なイメージで世界市場に進出するためだ。特に小中高校生向けの学習塾が密集している大峙洞は、韓国の外食トレンドをリードする10代消費者の反応をいち早く確認することができ、フランチャイズ業界ではテストベッド(試験台)とされている。
中華圏の食べ物は味が濃いという認識とは異なり、茶百道は「健康的な味」を強調した。店内には「一級品のソウル牛乳と動物性クリームを使い、茶はいれてから3時間以内の物を使う」という宣伝文句が書かれていた。飲み物が気に入らない場合は、作り直してくれる。
中国ブランドということを隠してもいない。中国を象徴するパンダロゴをはじめ、メニューやカップ、ストロー、宣伝の全てに中国語表記があった。また、従業員4人は中国語でコミュニケーションを取っていた。
■コスパ重視から高級ブランドまで韓国上陸
中国の外食フランチャイズが韓国市場の攻略を本格化させている。麻辣燙(マーラータン)の辛さ、糖葫蘆(タンフールー)の甘さなど刺激的な味が若者たちを魅了しているからだ。
金融監督院によると、火鍋店をフランチャイズ展開する海底撈(ハイディーラオ)を運営する海底撈コリアの昨年の売上高は前年比41%増の583億ウォン、営業利益は5倍以上の85億ウォンだった。
海底撈は1994年に中国四川省で創業した火鍋ブランドで、2018年に香港取引所に上場した。韓国には14年に進出し、韓国法人を設立した。シンガポール登記の持ち株会社のハイディーラオ・ホールディングスが100%出資しており、明洞、江南、弘大、釜山など8店舗を展開している。
韓国では赤字経営だったが、2022年からの麻辣燙ブームで、営業利益が黒字に転換した。売上高も前年の約2倍に増えた。
中国の麻辣燙フランチャイズ、楊国福麻辣燙も韓国進出から3年目の2022年、売上高が前年の約3倍の193億ウォンに達した。営業損益も前年の赤字から36億ウォンの黒字に転換した。 楊国福麻辣燙は2003年、中国・ハルビンに最初の店舗をオープンして以来、全世界で7000カ所の店舗を運営している。韓国では2019年、江南区駅三洞に出店後、加山、明洞、弘大など16店舗を展開している。
このほか、中国式の蒸し鶏を販売する「楊銘宇(ファン・ミンユィ)黄燜鶏米飯」、麻辣味の焼き魚を販売する「半天妖(パンティアンヤオ)烤魚」なども全国的に支店を増やしている。
最近はミルクティーブランドが勢力を拡大している。 ミルクティー、アイスクリームのチェーン店「ミーシュエ(蜜雪冰城・MIXUE)」は2022年、ソウル市銅雀区黒石洞の中央大近くに1号店を出し、韓国事業を開始した。現在、5店舗を運営しており、昨年11月には公正取引委員会に情報公開書を登録し、国内フランチャイズ事業を開始した。
茶百道が高級化路線なのに対し、蜜雪氷城は中国現地で6元(約125円)という安価のミルクティーで成功を収めた。韓国では1杯3000ウォン前後で販売している。
3月15日には中国のバブルティーブランド「HEYTEA(喜茶)」がソウル市江南区狎鴎亭洞に初店舗をオープンした。
韓国公正取引委員会が管轄する加盟事業法によると、フランチャイズ店を出すためには直営店を1年以上運営しなければならない。このため、1~2年後に中国外食業者の韓国でのフランチャイズ事業が本格化するとの見方が出ている。
■フランチャイズ事業は慎重さ必要
中華圏の飲食物は特に10~20代の間で人気を集めている。エキゾチックな香辛料と辛さが調和した麻辣燙、SNSで拡散され、好奇心を刺激した糖葫蘆とサゴミルクティーなどが若者の目と口を虜にしたと分析されている。それ以外の世代とは異なり、相対的に中国の文化や食べ物に反感がない点も人気要因に挙げられる。
しかし、飲食業界では中国発の外食ブランドの持続可能性について意見が分かれている。行政安全部の地方行政許認可データによると、昨年1月からこれまでに許可を受けた業者のうち、商号に「糖葫蘆」を使用した業者は店舗は1681カ所で、廃業した店舗は150カ所に達した。
業界では短期間の流行に比べ、フランチャイズ店があまりにも急速に増えたとの指摘がある。特に果物を串に刺して砂糖シロップで固めた糖葫蘆は、青少年の砂糖・果糖摂取、店舗周辺のごみ散乱などが社会問題化した。
外国企業は韓国のフランチャイズ市場に不慣れなだけに、慎重さが求められるとの意見もある。韓国の加盟事業法は世界でも規制が厳しく、海外の外食企業は苦戦している。
フランチャイズ協会関係者は「アイテムだけを見れば中華圏の食べ物が好まれているのは事実だが、フランチャイズ事業には慎重であるべきだ。外国企業は経営が困難になると事業を中断することがあるため、持続性を担保するのは難しい」と話した。
キム・ウンヨン記者