▲共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表。写真=news 1

 韓国最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が先日の選挙演説で、「韓国は(尹錫悦〈ユン・ソンニョル〉政権発足から)1年10カ月もたたないうちに北朝鮮よりひどい貿易赤字国になってしまった」と繰り返し主張した。また、「外貨不足で再び外国為替危機に陥る可能性もある」とも言った。韓国は昨年6月から先月までの10カ月連続で半導体や対米輸出の増加により貿易黒字を出している。文在寅(ムン・ジェイン)政権末期から尹錫悦政権初期までは半導体景気の低迷と対中輸出不振により貿易赤字を出していたが、それは過去の話だ。今月の外貨保有高も4192億ドル(約63兆6470億円)と世界9位だ。物価高と内需不振により一般国民は経済的に厳しいが、貿易赤字と通貨危機という主張は根拠がなく、事実とは正反対だ。

 韓国が北朝鮮より劣っているという発言は荒唐無稽(むけい)だ。今、世界で国民が餓死している国は北朝鮮をはじめ、ごくわずかだろう。韓国がそのような国より劣っているというのは誇張の次元を超えている。世界10位圏の経済国である韓国を北朝鮮と比較するとは、一言で言って理屈に合わない。北朝鮮も貿易をしているが、韓国の小さな企業1社ほどの規模だ。2022年の輸出は1億5900万ドル、輸入は14億2661万ドルで、貿易赤字が12億6761万ドルだった。貿易赤字は輸出の8倍だ。また、貿易の96.7%は中国に依存している。統計上の経済規模は韓国の60分の1だというが、実際は数百分の1くらいだろう。貿易規模は400倍以上の差だ。比べものにならない。いくら国会議員選挙が差し迫っているとは言え、李在明代表の主張には耳を疑う。

 李在明代表は議席の過半数を占めて国会立法権を独占してきた党の指導者だ。今回の韓国国会議員選挙でも、単独過半数が有力だという。そのような人なのに、経済状況と常識に全く合わない、とんでもない考えを持っている。これは懸念すべきことだ。

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