政治総合
北朝鮮の連絡遮断から1年 再開のめど立たず
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が韓国との連絡を一方的に遮断してから7日で丸1年となった。昨年4月6日を最後に、南北共同連絡事務所と軍通信線を通じた韓国との定時連絡に応じていない。南北経済協力事業・開城工業団地の韓国側施設の無断使用をやめるよう求める韓国政府の通知文の受け取りを拒否し、連絡を絶った。
韓国統一部によると、南北軍事境界線がある板門店に常駐する連絡官が平日午前9時と午後5時に北朝鮮側との連絡を試みているが、応答なしの状況が続いている。
連絡チャンネル断絶後、同部は韓国側で見つかった北朝鮮住民の遺体引き渡しの意向表明や梅雨入りを控えダム放流の事前通知を求める際に北朝鮮側に直接連絡できず、メディア発表に頼らざるを得なかった。
韓国軍も東海地区と黄海地区の通信線で平日午前9時と午後4時に連絡を続けているが北朝鮮側の応答はない。北朝鮮側に連絡事項がある場合は、北朝鮮軍との電話連絡が常時可能な国連軍司令部を介して行っている。
政府は偶発的な軍事衝突防止や海上での漂流船救助など人道主義に基づく対応や災害時の対応のためにも南北連絡チャンネルが復旧されなければならないとの立場だ。
北朝鮮は過去にも韓国側に対する不満が生じると、まず先に連絡チャンネルを遮断した。2020年6月には脱北者団体による北朝鮮体制批判のビラ散布を問題視し、連絡チャンネルを遮断したが、翌年7月に南北首脳間の親書交換などを機に復旧した。16年2月には、韓国が開城工業団地の操業を停止したことに反発して長期間にわたり定時連絡を拒否したが、18年1月に平昌冬季五輪への参加を表明し、通信線を復旧した。
しかし、今回はチャンネルを復旧できるかどうかは未知数だ。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)は昨年末の党中央委員会総会で、韓国を「敵対的な交戦国」と新たに位置づけ、対韓国政策を根本的に転換する方針を示した。北朝鮮としては韓国とだけ特別に連絡チャンネルを維持する理由がなくなった。
北朝鮮は金正恩氏の指示に基づき、韓国を「第1の敵対国、不変の主敵」として見なさなければならないという内容まで憲法に反映させようとしている。
韓国・北韓大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)総長は「過去には北の不満が解消されれば連絡チャンネルを復旧できたが、(北側が)憲法に韓国を敵対国として明示してからは復旧が非常に難しくなるだろう」との見方を示した。