寄稿
全世界の人々が韓国製の服を着る…「K繊維ファッション」全盛時代【寄稿】
2024年シーズンの米大リーグ(MLB)公式開幕戦「ワールドツアー・ソウル・シリーズ」が行われた3月17日。開始3時間前に限定版ユニホームを買おうとする人々の列は数百メートルにも達した。繊維ファッション関係者として真っ先に目に付いたのは、やはり野球の試合よりも韓国製のユニホームを購入する人々の長蛇の列だった。
韓国のファッションに注目しているのは私だけではない。世界中の人々がKコンテンツをきっかけに、K-POPやKフードなどを経て、韓国の繊維ファッション(K繊維ファッション)に注目している。欧州・アジアなどで今、K繊維ファッションが急浮上している。有名デザイナーのウ・ヨンミ氏は海外で知名度を上げ、仏パリの老舗デパート「ギャラリー・ラファイエット」などトップクラスの流通チャンネルで先頭グループに入り続け、その存在感をしっかりと示している。人気デザイナー、チョン・ウクジュン氏のブランド「juun.j(ジュンジ)」も海外での売上が急成長し、流通網を世界に拡大している。「ナショナルジオグラフィック」「ディスカバリー」「コダック」などは他業種にファッションのDNAを組み合わせて生まれ変わったライセンス・ブランドで、Kファッションをリードする有望株だ。全世界の人々が着用している衣類の相当数は韓国企業が作った製品だ。「最大の衣類消費国である米国で、韓国企業が作った服を着ているのは3人に1人だ」という話は決して誇張ではない。
K繊維ファッションを支えているのは韓国製の繊維素材だ。世界市場で韓国製の繊維素材はスマート(賢明)なことで有名だ。スマートなため、トップを走る分野も複数にわたる。「繊維産業の半導体」と呼ばれているスパンデックス(ポリウレタン)のグローバルシェアは韓国が1位だ。全世界の自動車車輪の4本に1本は韓国製のタイヤコードで作られている。また、産業の接着剤である低融点繊維も韓国製が世界最高だ。
韓国製の繊維素材とファッションの合従連衡は、原糸・生地・縫製など全業種の均等な分布と100万人の繊維ファッション関係者の存在がなければ不可能だ。韓国の繊維ファッション産業はその団結力により1987年に単一産業で初めて100億ドル(現在の為替レートで約1兆5170億円)を輸出し、過去47年間で3000億ドルの貿易収支黒字を達成して、中核基幹産業になった。
このような底力があるので、韓国の繊維ファッション産業の輝かしい未来には自信がある。電気自動車・水素自動車・風力発電のフレームを作る炭素繊維や、5G通信の中核を担う光ケーブルを保護するアラミドは韓国で生産されている。その上、韓国の産業はビッグデータ、人工知能(AI)、ブロックチェーン、バーチャル・リアリティー(VR、仮想現実)などの先端技術と融合し、人類の生活を変化させている。ロボットやデジタル転換技術が繊維ファッション製造工程と流通の革新を成し遂げ、ビッグデータとAIが消費者に合わせたサービスを創出している。また、繊維ファッション産業の持続可能な発展のため、リサイクル素材の使用や価値消費などを通じ、循環生態系を構築するのに官民とも努力している。
グローバル市場において、韓国の繊維ファッション産業は100年の歴史と蓄積された技術力、最も多くの世界生産供給網を保有している国として高く評価されている。そして、先端技術、サービス、文化、芸術が調和する融合産業に変わりつつある。
私は約40年前、広さ約1坪(約3.3平方メートル)の衣類小売商から始めて、売上1兆ウォン(約1120億円)と8つの系列会社グループを作った。その経験上、現在のKファッションは第2の韓流全盛期をリードする魅力的な産業であると確信する。情熱に満ちた若者たちには是非とも覇気をもって挑戦し、全世界で新たな神話を創造してほしい。
崔炳五(チェ・ビョンオ)韓国繊維産業連合会会長、ファッショングループ・ヒョンジ会長