経済制裁問題
対北制裁を監視する専門家パネルの任期延長、ロシアの反対で初の否決
国連安全保障理事会(安保理)による北朝鮮制裁が守られているか監視する対北朝鮮制裁委員会専門家パネルの任期が発足から15年で延長しないことになった。
安保理は28日、専門家パネル延長決議案の採択に向けた会議を正式に開催し、専門家パネルの延長について採決したが、賛成13票、反対1票、棄権1票で否決された。常任理事国のロシアが反対したためだ。中国は棄権した。安保理決議は五つの常任理事国(米国、英国、フランス、中国、ロシア)のうち1国でも拒否権を行使すれば採択されない。専門家パネルが終了すれば北朝鮮制裁に大きな穴があくとの懸念も浮上している。
国連の韓国代表部によると、ロシアは公式の会議前から安保理に対し「決議案に明記された北朝鮮制裁へのサンセット条項(有効期限をあらかじめ定めておく条項)追加」を賛成の条件にしていたという。事実上、北朝鮮の立場を代弁したものだ。「他の安保理決議のほとんどにサンセット条項があるのに、なぜ北朝鮮関連にはないのか」とロシアは主張したのだ。専門家パネルによる対北朝鮮制裁関連報告書の発行は現在1年に2回だが、これを1回に減らすことも要求したという。北朝鮮制裁へのサンセット条項導入と専門家パネルの任期延長は性格が全く異なる問題だが、これを無理に関連付けたのだ。
国連の関係者は「ウクライナ戦争で北朝鮮と武器取引を行っているロシアが他国の受け入れられない条件を提示する方法で『反対票』を投じる口実を得た」と指摘する。専門家パネルは今月20日の報告書で安保理決議に違反した北朝鮮とロシアの取引を記載するなど圧力が強まったため、最初からパネルの活動をやめさせたとの指摘もある。
今回の結果について韓国外交部(省に相当)は報道官声明を通じ「わが国を含む多くの理事国の圧倒的な賛成にもかかわらず、ロシアの拒否権行使で否決されたことに遺憾を表明する」とコメントした。声明はさらに「国連による対北朝鮮制裁のモニタリング機能を一層強化すべき時期に、安保理常任理事国のロシアが安保理理事国の総意に反し、自ら擁護してきた国連の制裁レジーム(体制)と安保理に対する国際社会の信頼を大きく損ねた。この無責任な行動を選択した点をはっきりと非難する」として不満も表出した。国連駐在の黄浚局(ファン・ジュングク)韓国大使はロシアによる拒否権行使について「犯罪を行う際に監視カメラを破壊したようなものだ」と批判した。
さまざまな
専門家パネルは2009年、北朝鮮による2回目の核実験を受けて採択された国連安保理決議1874号に基づいて発足した。任期は毎年4月30日までで、安保理は毎年3月ごろに新たな決議を採択する形で1年延長してきた。パネルは客観性を維持するため米国、韓国、中国、日本、英国、フランス、ロシア、シンガポールの8カ国から派遣された専門家8人で構成され、北朝鮮による制裁違反などに関する報告書を毎年2回作成して委員会に提出する。また国連加盟国などからさまざまな情報を集めて調査や分析を行うため、その信頼性は高く評価されている。
ニューヨーク=尹柱憲(ユン・ジュホン)特派員