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共に民主・李在明代表「ブラジルの没落は検察独裁が原因」発言に専門家が反論
韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は26日、ユーチューブ番組「金於俊(キム・オジュン)のニュース工場」に出演し「ブラジルも世界の7大経済大国だったが突然経済不振に陥った。司法独裁、検察独裁がその原因だ」と述べた。李代表が指摘した「司法独裁・検察独裁」とは2014年に始まったブラジル史上最大の汚職スキャンダルへの捜査を意味するようだ。これはブラジル最大の企業で国営石油会社のペトロブラスによる汚職スキャンダルの捜査が徐々に拡大し、ブラジルの著名な企業経営者や政治家が次々と逮捕された事件だ。しかし実際は逮捕者の多くが最終的に無罪となり、検察は「捜査が強引すぎた」と批判されている。このスキャンダルは当時のルセフ大統領率いる左翼政権が関係していた事実も後から明らかになった。ルセフ大統領は16年8月に弾劾されている。
しかしブラジル経済低迷の原因はこのスキャンダルではない。事件に関係したブラジルの複数の大手企業は打撃を受けたが、ブラジル経済は事件前からすでに深刻なインフレ状態で、なおかつ主力輸出品である資源価格も暴落しつつあった。ルラ大統領(2003-10)からルセフ大統領(11-16)へと続く左翼ポピュリズム(大衆迎合主義)政権の過度な福祉政策や放漫な財政運営が原因で物価が高騰し、結果として財政が破綻しブラジル経済が崩壊したとの見方が一般的だ。韓国外国語大学法学専門大学院のチョ・ヒムン教授(中南米法専攻)は「むしろブラジルで昔からあった腐敗や汚職が経済難の最大の原因だった」「スキャンダルに対する捜査で経済が崩壊したとの見方は本末転倒だ」と反論した。
2015年にブラジル経済が一気に不振に陥った大きな要因は原油価格暴落との見方が一般的で、腐敗スキャンダルはその時期がたまたま重なったに過ぎない。当時原油価格はほぼ半分へと一気に落ち込み、原油輸出に依存する国はどこも大きな打撃を受けた。その代表的な国の一つがブラジルだった。
李在明代表はアルゼンチンについても「失敗の実例」とした上で「豊かだった国が政治が原因で貧しくなった」と主張した。しかしこの「政治が原因」の内容を見ると、李代表が京畿道知事だった当時、また大統領候補だった時に主張していた無償福祉拡大政策と多くの面で一致する。アルゼンチン経済を崩壊させた要因としては左翼ペロニズム(1940-50年代に大統領だった左翼のペロン大統領の政策を継承する大衆迎合主義)の過度な福祉政策が上げられている。2019-23年に在任したフェルナンデス元大統領も大規模な福祉政策を乱発し、国の負債は一気に962億ドル(現在のレートで約15兆円)にまで膨れ上がり、それでも足りない分は中央銀行が紙幣を印刷して充当したため、当時アルゼンチンでは140%以上の激しいインフレが発生した。
リュ・ジェミン記者