▲20日夜、ソウル高尺スカイドームで行われた2024年シーズンの米大リーグ(MLB)公式開幕戦「ワールドツアー・ソウル・シリーズ」ロサンゼルス・ドジャース対サンディエゴ・パドレス第1戦で、試合を見守るドジャースの大谷翔平選手と通訳の水原一平氏。写真=聯合ニュース

 米大リーグ(MLB)で活躍中の野球界のスター、大谷翔平選手(29)=ロサンゼルス・ドジャース=。その専属通訳だった水原一平氏(39)の「違法賭博・窃盗問題」で謎がますます深まっている。21日に「カリフォルニアの違法スポーツ賭博業者あてに大谷選手名義で金が振り込まれていた記録がこのほど確認された」という米メディアの報道により浮上したこの問題は、大谷選手・水原氏の双方が「水原氏が賭博の借金を返そうと大谷選手の口座からお金を盗んだ。大谷選手はこれを知らなかった」と述べて一段落するかと思われたが、これを初期に報道したメディアは後続の報道で事実上、「大谷選手は水原氏の借金を肩代わりしようと債権者である違法賭博業者に送金した」という状況を暴露した。大谷選手が水原氏の賭博問題を知りながら借金を肩代わりしたとすれば、MLBからの懲戒処分はもちろん、米当局の処罰も避けられないという見方が出ている。さらに、カリフォルニア大学リバーサイド校を卒業したという水原氏の学歴が詐称だったという報道もある。

 23日にESPNやヤフー・スポーツなどが報道した今回の事態の経緯は次の通りだ。米連邦捜査当局は今年1月、違法賭博業者マシュー・ボウヤー氏を捜査していたところ、昨年9-10月に大谷選手がボウヤー氏側に2回にわたり50万ドル(約7560万円)ずつ送金した記録を確認した。この情報を入手したESPNが19日、大谷選手の広報担当者に問い合わせた結果、「大谷選手は水原氏の借金を代わりに返済してやった。最大の送金限度額である50万ドルを数回にわたって(ボウヤー氏側に)送った」という返答があった。同日、水原氏もESPNとの電話インタビューで、「昨年、大谷選手に(賭博関連の)事情を話して借金を返した」と言った。水原氏の借金は総額450万ドルで、これを8-9回にわたって送金したということだった。

 ところが翌20日、大谷選手側はESPNに「水原氏はウソをついた。大谷選手は(水原氏の賭博借金問題を)知らなかった」とコメントを覆した。前日19日に「大谷選手の証言だ」と報道機関に伝えられた言葉は全て水原氏を通じて出てきたものだが、通訳である水原氏が大谷選手の回答を伝える過程で「フェイクニュース」を流したということだ。大谷選手側の弁護人は20日、「大谷選手が大規模な窃盗事件の被害者であることを確認した」と発表し、すぐに水原氏もESPNに「大谷選手は私の賭博に関する借金問題を全く知らなかった」と、19日の証言を撤回した。その後、水原氏はドジャースから解雇された。

 ただし、「大谷選手に(賭博問題について)ウソをついたのか」という質問に、水原氏は「そうだ」と言いながらも、「ESPNの取材初期に大谷選手の『水原氏の借金を肩代わりした』という回答を通訳した時、わざと誤った情報を伝えたのか」という質問には「絶対に違う」と答えた。大谷選手側がこの日、コメントを変えて「水原氏が通訳の過程でウソをついた」と言った説明と相反する部分だ。

 米メディアはこのような状況から見て、大谷選手が水原氏の賭博問題を知りながら借金を返済し、後に内部との相談を経てコメントを変えたという報道をしている。CBSスポーツは「大谷選手が自ら送金したとすれば、自身も捜査対象になり得る」と報道した。大谷選手は20日と21日にソウル高尺スカイドームで行われたMLB開幕戦を終え、帰国した現在まで立場を明らかにしていない。ロサンゼルス・タイムズは22日、「大谷、大人になれ。沈黙は憶測を招く」と大谷選手に立場の表明を求めた。

 日本のテレビ朝日は22日、今後考えられる4つの展開を「4つのシナリオ」として報道した。(1)大谷選手がボウヤー氏側への送金を知らず、水原氏が大谷選手の口座へのアクセス権があったとすれば、水原氏は「違法賭博」と「横領」という2つの疑惑を受けることになる。(2)水原氏に口座へのアクセス権がなかったなら(何らかの方法でパスワードなどを盗み見て勝手に送ったことになるので)、「窃盗」になる。あとの2つのシナリオは、大谷選手が送金の事実を知っていた場合だ。(3)水原氏が大谷選手に賭博問題を告白せず、他の理由で送金を頼んだとすれば、水原氏は違法賭博に加えて「詐欺」の疑惑を受ける。(4)大谷選手が送金の事実を知っていて、それが水原氏の賭博の借金のためであることも知っていたなら、水原氏はもちろん、大谷選手も捜査対象になる可能性があることになる。ただし、水原氏は「スポーツ賭博が違法だとは知らなかった」と述べたと伝えられている。大谷選手と水原氏が居住しているカリフォルニア州ではスポーツ賭博が違法になっている。米NBCなどは「大谷選手が通訳を通じて代理で違法賭博をしていたとすれば、(MLBから)『1年間の出場禁止』以上の懲戒処分を受ける可能性がある」と報じた。

 MLB調査局は22日、今回の事態に対する調査を正式に開始したと発表した。国税庁に当たる米国の内国歳入庁(IRS)も水原氏の捜査に着手したという。一方、日本の週刊文春は23日、「水原氏は大リーグの公式ウエブサイトをはじめとする複数のメディアで『カリフォルニア大学リバーサイド校卒業』とされてきたが、同校に問い合わせた結果、『水原一平という学生が通っていたという記録はない』という回答があった」と報道した。

キム・ドンヒョン記者

ホーム TOP