経済総合
中国アリエクスプレスが韓国に11億ドル投資、激戦地と化す韓国EC市場
中国アリババグループ(阿里巴巴集団)の国際電子商取引(EC)企業であるアリエクスプレスが韓国市場を本格的に攻略するため、今後3年間で11億ドル(約1637億円)を投資すると発表した。年内に2億ドル(約298億円)をかけ、韓国にサッカーコート25面分の規模の超大型物流センターも建設する計画だ。
超低価格商品で韓国市場を急速に攻略しているアリエクスプレスが韓国への投資計画を資金を発表したことで、韓国の流通市場は世界的大手企業と国内企業がさらに激しく対決する構図となりそうだ。アリエクスプレスによる今回の投資計画は、韓国の同業大手クーパンが10年間で6兆2000億ウォンを投じ、物流センターを約100カ所建設してきたことと比較される。クーパンがこれまで年平均6200億ウォンを投資し、物流インフラを構築することで、韓国のEC市場を先取りしたのに対し、アリエクスプレスは年間5000億ウォンをかけ、韓国市場攻略に乗り出す格好だ。
■国内外EC企業の激戦地となった韓国
アリエクスプレスは14日までに、韓国事業拡大に向けた事業計画書を産業通商資源部に提出した。今回の投資計画発表は、韓国のEC市場で早期にシェアを引き上げるための宣戦布告と言える。物流センターの建設計画を明らかにしたのは、韓国国内で配送速度を高める狙いだ。アリエクスプレスは現在、中国の物流センターから船便で韓国に商品を発送している。中国の現地物流センターは港近くにあり、船便による配達にしては迅速に届くが、クーパンの翌日配達に比べれば遅かった。このため、韓国国内への物流センター建設でそうした弱点を克服する構えだ。
アリエクスプレスを巡っては、最近急激に事業拡大した中国のEC業者に対する否定的な世論を払拭するため、大規模な投資計画を公表したとの見方もある。業者関係者は「アリエクスプレスが最近、違法な有害商品販売や知的財産権侵害などで論議を呼んだことから、それを沈静化し、韓国市場と友好的関係を維持するために投資計画を発表したのではないか」と話した。
アリエクスプレスが韓国市場の特性を考慮し、投資拡大を決めたという見方もある。淑明女子大経営学科の徐鏞求(ソ・ヨング)教授は「韓国は日中をはじめとする北東アジアの中でもITインフラが最も整った国で、EC市場が急速に成熟しており、他国に市場を広げるための橋頭堡かテストベッドのようなところだ」と指摘した。2022年の韓国の消費者による海外通販利用額は5兆3204億ウォンだったが、23年には6兆7567億ウォンに拡大した。
■焦る韓国EC業界
韓国のEC業界は緊急事態だ。特にアリエクスプレスが今回発表した販売者支援策、消費者保護策を懸念する声が大きい。同社は今後、韓国の販売者が出店する際に手数料を免除するため、約1000億ウォンを投入すると表明した。消費者保護にも1000億ウォンを投資する。既に平日の午前9時から午後6時まで受け付ける顧客センターの電話相談サービスも開始した。通販商品は決済完了から90日以内は別途証明することなく、100%返品と払い戻しに応じる。業者関係者は「極限の出血競争だ」と話した。
クーパン、ロッテ、新世界など韓国流通大手は、生鮮食品の販売を強化し、ブランド力で対抗する計画だ。クーパンは「アリエクスプレスの攻勢を鋭意注視するが、十分に持ちこたえられると判断している」と説明した。流通大手関係者は「アリエクスプレス、Temuなどの企業との対決では、超低価格製品だけでは解決できない品質を強化し、競争力を示す方策を探っている」と話した。
宋恵真(ソン・ヘジン)記者