▲2022年の北京冬季オリンピックでフィギュアの女子シングルに出場した当時のワリエワ/キム・ジホ記者

 アンチ・ドーピング規則違反でオリンピックの金メダルを剥奪されたロシアのフィギュアスケート選手カミラ・ワリエワ(18)は満13-15歳の時に56種類の薬物を投与されていたという。英紙タイムズがスポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定を引用して報じた。

 報道によると、2022年の北京冬季オリンピックまでの2年間、ロシアチームのドクターらがワリエワに心臓薬、筋肉増強剤、合法的な競技力向上薬を混ぜて服用させたという。ワリエワは21年12月に採取された尿のサンプルから禁止薬物トリメタジジンが検出されたことが北京冬季オリンピック期間中に公表され、今年1月に4年間の選手資格停止の処分を受けた。

 タイムズによると、ロシアのチームドクター3人がワリエワに服用させた薬物のリストにはトリメタジジンの他に禁止されていない55種類の薬物などが記載されていたという。リストには一部の研究者が世界アンチドーピング機構(WADA)の禁止薬物リストへの記載を求めているステロイドホルモンのエクジステロン、心臓疾患の治療薬で一部アスリートがドーピング規定に違反せず競技力向上のため服用するハイフォクセンとLカルニチン、鎮痛剤、下痢止め、風邪薬、インフルエンザ治療薬、クレアチンなど複数のアミノ酸製剤、エネルギーブースターなどもあった。

 チームドクターらは「ワリエワは14歳の時にスポーツ心臓(過度な運動による心臓肥大)の診断を受けたため心臓薬の投与を受けていた」と主張しているが、WADAはこれらの薬物について「多くの練習量と回復を促すためロシアで選手らに与えられている典型的な薬物」と指摘した。米国アンチドーピング機構(USADA)のトレビス・タイガード会長はワリエワに投与された薬物の数について「ぞっとする」と述べ、ワリエワ周辺の人物に対する処分を求めたが、ワリエワのチームドクター3人とコーチのエテリ・トゥトベリゼ氏は現時点で何の処分も受けていない。ドクターの1人は過去にもドーピング違反で制裁を受けたことがある。WADAのオリビエ・ニグリ事務局長は「ワリエワの周りには今回の事件に関係した可能性のある人物が多く、彼らはワリエワを犠牲にしようとした」と指摘した。

 ワリエワはジュニアの時から4回転ジャンプに成功するなど世界最高得点を何度も更新し注目を集めた。ワリエワはロシアオリンピック委員会のフィギュア代表メンバーとして北京冬季オリンピック団体戦で金メダルを獲得したが、禁止薬物のトリメタジジンが検出されていた事実が優勝直後に公表された。ロシアチームは「家庭で祖父が服用していた薬が混ざったいちごのデザートを食べたため」と主張したが、受け入れられなかった。今年1月にCASはワリエワの選手資格を2021年12月から来年12月まで4年間停止とし、その間に行われた北京冬季オリンピックでもロシアは団体戦の金メダルが剥奪された。

崔秀賢(チェ・スヒョン)記者

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