▲写真=NEWSIS

 米中央情報局(CIA)など米国の18の情報機関を統轄する国家情報長官室(DNI)は11日、各国の脅威に関する年次報告書を公表し、その中で「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は核兵器を政権維持と国のプライドを守る道具と認識している」「核廃棄交渉に応じる考えが全くないことは確実」と指摘した。さらに「ここ1年で一気に進んだロシアとの軍事協力を通じ、国際社会から核保有国としての認定を期待している」との見方も示した。

 DNIは報告書で「金正恩総書記は米国と同盟国にとって脅威となる核兵器や在来兵器の軍事力を向上させ続けるだろう」「経済的な利益や軍事協力に向け中国・ロシアとの協力を強化している」などの見方を示した上で「核保有国として国際社会の認定を受けるという目標成就に向け、ロシアとの軍事面での関係強化を利用したいと考えるかもしれない」とも予想した。昨年の金正恩総書記とロシアのプーチン大統領との首脳会談後、北朝鮮はロシアに砲弾を提供し、その見返りに偵察衛星などに使用される一部軍事技術の支援を受けたとみられる。

 北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)について報告書は「金正恩総書記は核武器庫拡大の考えを強く持ち続けており、北朝鮮は2022年ごろから豊渓里での核実験再開に向け準備を進めてきた」と分析している。さらに「北朝鮮は生物化学兵器の能力も維持しており、武力衝突や非在来兵器あるいは極秘の攻撃にこれを使用する可能性も考えられる」と予想した。北朝鮮の在来兵器による軍事力全般については「改善を進めているが、ミサイル開発やその実験・配備と比較すればペースは遅く、これはリソース面での制約により優先順位が決まっているため」「大陸間弾道ミサイル(ICBM)から極超音速飛行体に至るまで、さらに強力なミサイル攻撃力の開発を最優先の課題とするだろう」との見方も示した。

 北朝鮮によるサイバー攻撃の脅威について報告書は「成熟段階にあり、韓米両国を含む広範囲な目標に向けさまざまな戦略目的を遂行する能力も完璧に保有している」「仮想通貨窃盗などのサイバー犯罪は今後も続けるだろう」と警戒を示した。北朝鮮は仮想通貨を奪う目的でサイバー攻撃を続けており、毎年巨額の通貨を手にしている。またそこから得た利益が核兵器開発の大きな資金源とされている。報告書は「仮想通貨による現金確保、さらにマネーロンダリングに利用するIT技術者の海外就業を追加の現金獲得手段として利用するだろう」とも予想した。

ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員

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