4月10日に行われる韓国総選挙を控え、野党・共に民主党の衛星政党として候補を擁立するミニ政党が5日、比例代表候補の名簿登載者を確定した。進歩党の候補に選出された人物の中には、旧統合進歩党で活動していた人物が含まれており、民主党から離党した人物も新進歩連合の候補に選出された。民主党は野党連帯のためにミニ政党に「当選有力圏」の名簿登載順を約束し、自力では当選が不可能な統合進歩党系の人物の議会入りが現実になりそうだと指摘されている。野党関係者は「民主党が衛星政党という小細工で事実上『統合進歩党復活』の道を開いた」と語った。

 進歩党は比例代表候補選出のための党員投票を行った結果、得票順に張珍淑(チャン・ジンスク)、全鍾徳(チョン・ジョンドク)、孫率(ソン・ソル)の3氏を選出したと発表した。3人はいずれも京畿東部連合を主軸とする民主労働党、統合進歩党、民衆党で活動したという共通点がある。進歩党の共同代表である張珍淑氏(49)は元弘益大副総学生会長で、韓国大学総学生会聯合(韓総聯)で代議員を務め、国家保安法違反容疑で指名手配された経歴がある。全鍾徳氏(52)は民主労働党、統合進歩党の候補として何度も地方選挙や総選挙に出馬したほか、京畿東部連合出身のヤン·ギョンス全国民主労働組合総連盟(民主労総)委員長が率いる指導部で事務総長を務めた。民主労働党、統合進歩党、民主労総につながる京畿東部連合の勢力拡大過程に全て関与したとされる。進歩党の首席報道官である孫率氏(29)は、梨花女子大総学生会長出身で、統合進歩党の後身である民衆党の共同代表を務めた。

 政界からは「進歩党の比例代表の顔触れを見ると、統合進歩党勢力が民主党を宿主として復活した」という評価が聞かれる。

 新進歩連合も同日、比例代表候補に現職国会議員の龍慧仁(ヨン・ヘイン)氏(33)、韓昌旼(ハン・チャンミン)共同選挙対策委員長(50)、崔赫振(チェ・ヒョクチン)元青瓦台社会的経済秘書官(54)の3人を確定した。今回発表された進歩党と新進歩連合の比例代表候補6人は民主党主導の比例連合政党で名簿登載順位20位以内に配置される見通しだ。これに先立ち、民主党の衛星政党である「共に民主連合」は、比例代表候補30人を擁立するが、当選可能性がある20位以内には新進歩連合から3人、進歩党から3人、市民社会代表である連合政治市民社会から4人を登載することを決めた。比例1位は市民団体が推薦する人物を擁立。残りは共に民主党の候補と新進歩連合、進歩党、市民団体の候補が交互に配列される。新進歩連合関係者は「得票率がどの程度になるかがカギだが、ミニ政党候補うち2人までは無難に当選圏内に入るとみられる」と述べた。

 政界ではこうした野党連帯について、事実上市民運動勢力による「ポスト分配」だという批判が出ている。総選挙では比例区で3%以上を得票した政党でなければ議席を得ることができないが、支持率が3%に満たない進歩党、新進歩連合が「衛星政党」という小細工で国会に無血入城する格好だ。民主党関係者は「野党連帯に加わった候補をできるだけそのまま受け入れることにしたため、比例代表候補の顔触れが国民目線に合わない極左、市民運動勢力出身者で満たされる可能性がある」と話した。

 新進歩連合の龍慧仁氏は、前回の総選挙に続き、民主党の衛星政党候補として出馬することになった。龍氏は前回総選挙で基本所得党の取り分として民主党の衛星政党である共に市民党に参加し、比例代表で当選後、基本所得党に戻った。今回の総選挙を控え、光州かソウル永登浦甲など小選挙区からの出馬を検討したが、結局民主党の衛星政党を通じ、比例区に再出馬することになる。民主党は龍氏を当選圏内に配置するとみられ、再選を果たす可能性が高い。野党関係者は「しばらく批判を浴びるにしても、結局当選が保障される比例区を選んだのではないか」と話した。新進歩連合は龍氏の主導で結党されており、龍氏自らを比例代表として推薦する「セルフ公認」だという批判も出ている。李在明(イ・ジェミョン)代表の支持者が集まるネット上のコミュニティー「ジェミョン村」では、「龍慧仁がもう一度議員バッジを付けようと親李在明になりすました」との批判があふれた。

 崔氏は文在寅(ムン・ジェイン)政権の青瓦台で初代の社会的経済秘書官を務め、民主党を離党した翌日の今年1月15日、新進歩連合に「ナンバー2」として迎え入れられた。崔氏は昨年の統一地方選で民主党内で原州市長選の候補選考に加わった経歴がある。そんな人物が民主党を離党し、衛星政党の比例候補になったわけだ。正義党離党派の韓氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の支持団体「盧武鉉を愛する人々の会(ノサモ)」出身で、盧武鉉財団大田・世宗・忠南共同代表を務めている。

 進歩党では比例代表候補のほか、小選挙区で民主党との候補一本化が進んでいる。 京畿道の議政府乙選挙区、ソウル市の冠岳乙選挙区からそれぞれ出馬する金在妍(キム・ジェヨン)、李相奎(イ・サンギュ)元議員は共に統合進歩党の中心メンバーとして知られる。民主党が蔚山市の北区選挙区をを進歩党候補に譲ることを決め、統合進歩党出身の尹鍾五(ユン・ジョンオ)元議員も当選の可能性が高くなった。進歩党、新進歩連合を除く残り4人を推薦する連合政治市民社会には、利敵団体である祖国統一汎民族連合(汎民連)で南北海外実務会談代表を務めたチョ・ソンウ全国非常時局会議常任代表、さまざまな弾劾要求デモの先頭に立ってきたパク・ソクウン韓国進歩連帯常任代表ら親北・反米傾向の人物が並ぶ。野党関係者は「反米・従北・デマ勢力が民主党を宿主として国会に進出し、国会は強硬派による扇動でこれまで見たことがない極度の混乱に陥る恐れがある」と懸念した。

周希妍(チュ・ヒヨン)記者

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