尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領は6日、「大規模病院はこれまで、若い研修医の犠牲に依存しすぎてきた。特に必須医療科目はこのような現象が一層ひどく、必須分野の人材難の主な原因にもなっている」と述べた。全国の上級総合病院47カ所の全医師のうち、研修医（インターン・レジデント）が37.5％を占めるのは「非常にいびつな構造」だという意味だ。その上で、「研修医の勤務時間は週77.7時間と長すぎる」とも言った。

　尹大統領は「このような（研修医への依存が高い）病院の運営構造を必ずや正し、改革しなければならない。専門医中心の人材構造に変えていく一方、熟練したPA看護師（フィジシャン・アシスタント＝診療補助をする看護師）を積極的に活用し、根本的な医療システムの改編も推進する」と明らかにした。PA看護師は手術補助など医師業務の一部を担うが、法的根拠があいまいな状態だ。尹大統領は「（現在施行中の）PA看護師試験事業を通じて研修医不在による業務の空白を埋め、法的に確実に保護されるようにする」と語った。

　また、「救急・高難度手術に対する全幅的な診療報酬（健康保険が病院に支払うお金）の引き上げとともに小児・分娩（ぶんべん）などには健康保険財政投入を拡大する」とも述べた。重症心臓疾患の補償強化、ハイリスク妊婦・新生児統合治療センターの事後補償、地方の新生児集中治療室専門医に対する公共政策診療報酬の導入など、具体的な案にも言及した。韓国政府は健康保険財政約1200億ウォン（約135億円）を投入し、今月から直ちに妊婦・新生児・重症疾患分野の補償を強化する。

　尹大統領は病院ごとに重症・軽症患者を区分して診療する案も提示した。「ビッグ5（ソウル大学病院・ソウル峨山病院・セブランス病院・サムスンソウル病院・ソウル聖母病院）は重症・希少患者の診療に集中できるよう、重症診療に対する補償を拡大し、軽症患者に対する補償は減らす」ということだ。最重症救急患者を収容する圏域救急医療センターは、救急隊移送患者を中心に収容する方針だ。尹大統領は「大統領直属の医療改革特別委員会を早期に発足させ、公論化が必要な課題を協議する」と述べた。

　政府は同日の国務会議（閣議）で、「医療混乱」の長期化に備えるための予備費1285億ウォンの支出を議決した。研修医不在の空白を埋めるために追加勤務する医療従事者の補償や代替人材採用に必要な費用などを支援するということだ。

　大韓看護協会は同日、尹大統領が「PA看護師を活用して医療システムを改編する」と述べたことについて、「積極的に支持する」と述べた。そして、「医療従事者などの献身に感謝するという大統領の言葉に大きな慰めと力を得た。政府の医療改革の意志に変わらぬ支持を送る」と明らかにした。

オ・ジュビ記者