社説
手を取り合う二人の被告人…共に民主党と祖国革新党、何のための連帯なのか【3月6日付社説】
韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表と、同じく進歩系の新党「祖国革新党」の曺国(チョ・グク)代表が5日に対面し、選挙連帯を発表した。さらに曺代表は「民主党は選挙区で1対1の構図を形成し、勝利してほしい」と語った。自分たちは選挙区に候補を擁立せず、比例代表にのみ注力するから、民主党は選挙区に専念する形で役割分担をしよう-というのだ。また曺代表は「祖国革新党は、民主党側に意志はあっても慎重でなければならないキャンペーンを大胆に展開していきたい」とも語った。民主党がやりたくてもできない「汚れ仕事」は「チョ・グク党」が引き受けるというのだ。
二人はいずれも党代表で、刑事被告人だ。李代表は大庄洞など七つの事件、10の罪で裁判にかけられている。起訴内容も収賄、背任など典型的な権力型不正腐敗犯罪だ。民主党は起訴されるだけでも党のポストは務められないことになっていたが、これを李代表自ら変更し、現在まで代表職を維持している。曺代表は入試不正などの罪で控訴審でも懲役2年の実刑判決を受けた。破廉恥犯罪で控訴審まで懲役刑が出たにもかかわらず「非法律的名誉回復」をやりたいとして自分の名前を付けた党を作った。そんな人々が両党の代表として対面する場面そのものが、今の韓国野党がどれほど非正常であるかを示している。かつてであれば、党代表ではなく国会議員選挙への出馬も難しかった人々だ。犯罪容疑で起訴されて控訴審でも懲役の判決を受けた人が「検察独裁」うんぬんと言い、さらにはこれを選挙に利用するのは、大韓民国の法治自体を無視するものだ。
二人が「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権終息」を叫ぶのも、理屈に合わない。曺代表は文在寅(ムン・ジェイン)政権初期の民情首席として尹錫悦検察総長(検事総長に相当)の任命において大きな役割を果たした。曺国問題のせいで弾圧を受けた尹検察総長は、政界入りを考えるようになったという。李代表は先の大統領選挙で、尹大統領に敗れた人物だ。圧倒的な議席を持つ与党候補だったが、大庄洞など個人の腐敗疑惑や各種の個人的欠陥のせいで、韓国国民から選ばれることに失敗した。二人がいなければ、こんにちの尹錫悦政権は誕生しなかっただろう。政権誕生に誰よりも貢献した人々が、政権終息を叫んでいる。
二人がどれほど良いことを言っても、結局は選挙を利用して個人の不正に免罪符をもらい、権力を握り続けたいということを意味する。二人が勝てるのは、韓国の有権者が両陣営に極端に分裂し、「味方」であればどれほど間違ったことをして、どんな行いを見せても支持すると確信しているからだ。慨嘆すべきことだ。