▲2024年3月1日に「三一節(独立運動記念日)」105周年を迎え、ソウル市西大門区の独立門前で太極旗(韓国国旗)を振り、「大韓独立万歳」と叫ぶ人々。写真=オ・ジョンチャン記者

 「『三一節(1919年3月1日の三一独立運動を記念する日)に旅行で日本に行こう』という妻に、『非常識だ』と言ったら、逆に私の方が変な人だと言われました。私はそんなに変なことを言ったのでしょうか」。国の慶事を記念する祝日のうち、韓国の三一節は一年で最初に迎える祝日であり、法律で定められた休日だ。我が民族が帝国主義国だった日本の植民統治に抵抗し、韓国の独立に対する意志を世界に知らしめた三一独立運動を記念するという象徴的な意味がある。

 ところがここ数年、三一節が近づくたびに「三一節に旅行で日本に行くのは適切な行動なのか」を巡り、家庭内や会社などで賛否論争が繰り広げられる。今年は三一節が金曜日ということで、土日と合わせて三連休になり、旅行で日本に行く人々が再び急増、こうした議論がいっそう熱くなっている。

 航空業界によると、先月23日基準でほとんどの航空会社の日本行き旅客便予約率が85-90%を上回ったという。三一節連休の日本行き航空便は事実上の売り切れ状態だという意味だ。航空業界の関係者は「最近は三一節だからといって、日本に行かないというムードは感じられない。連休と言っても三日間と短いため、近い日本が好まれているようだ」と語った。

 三一節連休に日本旅行ブームが起こっているという話に、インターネット上でも現実社会でもあちこちで「望ましくない」という意見と、「別に構わない」という意見が拮抗(きっこう)している。ソウル在住の30代会社員Aさんは「会社の親しい後輩が『今度の連休に旅行で日本に行ってくる』と言ったので、表向きは『行ってらっしゃい』と言ったが、内心は気持ちが冷めた。いくら法律で決まっている祝日とはいえ、三一節に旅行で日本に行くのは、祝日になった経緯を無意味にするため、考えが浅いと思う」と語った。

 だが、反論も少なくない。釜山市在住の30代会社員Bさんは「そのように厳格に祝日の意味を問うならば、祝日に日本以外の所に行って大騒ぎしたり、遊んだりすることも『非常識』な行動ではないだろうか。殉国烈士(国のために戦って死んだ人々)が独立させ、建国しようとしたのは個人の自由が保障される国だったのに、祝日に日本に旅行することで非難するのは他人の自由を抑圧する過度な厳粛主義だ」と言った。

 本紙はSMC&Cアンケート調査プラットフォーム「tillion Pro(ティリオン・プロ)」に依頼し、三一節前の先月26日と27日、20-60代の男女1500人に「三一節や光復節(1945年8月15日=日本に奪われた主権を取り戻した日)に旅行で日本に行ったら『非常識』だと思いますか?」と質問した。

 この質問に回答者の63%は「望ましくない」と答えた。このうち女性は65%、男性は59%だった。一方、「祝日に旅行で日本に行っても構わない」という回答は37%で、「非常識」という意見と「そうは思わない」という意見は6対4に分かれた。これまでは「MZ世代や、その世代に近いほど祝日と関係なく行動する」という見方があったが、今回の調査では世代による差がほとんどなかった。むしろ、「三一節に旅行で日本に行っても構わない」という回答は60代で40%と最も高かった。

 こうした回答をどう見るべきなのだろうか。評論家のノ・ジョンテ氏は「1980年代初めに生まれた世代までは、国から教育を受けた反日主義でなくても、『日本は韓国よりはるかに暮らし向きがいい』という恐怖感に基づいた反日主義が定着している。その反面、それ以降に生まれた若い世代は国による反日主義に加えて、『韓国は日本よりもましなのに』という、日本のことを韓国とほぼ同じか、あるいは見下す攻撃的反日主義がある点が違う」と分析した。

 「三一節に旅行で日本に行くのは望ましくない」と考える人にその理由を尋ねると、「他の所に行けるのに、あえて日本に行くのは祝日の趣旨にそぐわないから」という回答が45%で最も多かった。次いで「殉国烈士のことを考えれば恥知らずの行動だから」(35%)、「日本を観光してお金を使うことは日本を助けることになるので望ましくない」(20%)などだった。

 反対に、「旅行で日本に行ってもいい」と考える人にその理由を尋ねると、54%が「旅行するのは個人の自由だから」と答えた。こう答えたのは20代で61%、60代で60%と、全体の平均より高かった。次いで「祝日の意味を胸に刻むことは場所に関係なくできるから」(30%)、「日本への旅行だけを非難するのは時代錯誤だ」(16%)などだった。

 このような論争が繰り返されることについては「個人の自由だから、放っておくべきだ」という回答と、「政府の広報・政策が必要だ」という回答がそれぞれ35%で拮抗した。「市民が立ち上がり、祝日の趣旨を損なう行動を批判し、防止すべきだ」は20%、「祝日の趣旨が損なわれるなら、祝日をなくすべきだ」が11%だった。

 ノ・ジョンテ氏はこの論争について、「国の慶事を記念する祝日にサイレンを鳴らしていた国家主義的祝日文化・習慣がなくなって以降、『法律で定められた休日』という考え方しかが残っていないためだ。『ある特定の国に行ってもいい』『いやダメだ』という消耗するばかりの論争よりも、祝日をどのように記念して過ごすかについて、新たな談論や文化を形成することの方が重要だ」と語った。

ペ・ジュンヨン記者

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