IT産業
米日の半導体速度戦…「失われた30年」を取り戻した
22日午後、熊本県菊陽町に建設された台湾ファウンドリー(半導体受託生産)大手台湾積体電路製造(TSMC)の新工場正門を訪れた。小雨が降る中、2車線道路を自動車とトラックが絶えず通り過ぎた。正門のすぐ近くには東京ドームほどの大きさの白く四角い建物がそびえていた。TSMCによる23番目の半導体工場だで、高さは30メートル、全長は100メートルを超える。日台の半導体同盟を象徴するもので、TSMCと日本半導体関連企業の合弁会社ジャパン・アドバンスト・セミコンダクター・マニュファクチャリング(JASM)が運営する。
24日に竣工式が予定されるTSMC熊本工場は、2022年4月に着工され、予定より2カ月早く完成した。TSMCにとって日本国内初の工場であり、日本政府がTSMCに補助金4760億円を支給し、積極的に誘致した。日本のマスコミは連日、「日本の半導体復活を象徴する工場」と報じている。1980年代に世界最強の半導体製造国だったが、韓国・台湾に敗れて没落した日本が台湾と手を組んで復活を目指す構図だ。
東京証券市場では、人工知能(AI)の全面的な普及による半導体好況への期待感が高まり、株価が過去最高値を更新した。日経平均は前日比2.2%上昇し、3万9098円で取引を終え、バブル崩壊直前の1989年12月29日に記録したこれまでの最高値(3万8915円・終値ベース)を上回った。長い景気低迷を意味する「失われた30年」を経て、34年ぶりに最高値を更新したのだ。
日本の株式市場は米中対立による反射利益、デフレ脱却の期待感などに支えられ、昨年以来上昇を続けてきた。直近の3日間に下落していた日経平均が22日に大幅に上昇したのは、米半導体大手エヌビディアが前日発表した「サプライズ決算」が起爆剤だった。AIブームで最も恩恵を受けるとされるエヌビディアは、昨年第4四半期の売上高が前年同期比3.6倍の221億ドル(約3兆3000億円)、純利益が8.7倍の123億ドルに達し、いずれも市場予想を大幅に上回った。
ニューヨーク株式市場の引け後に発表された決算は、エヌビディアの株価を時間外取引で約10%引き上げ、続いて開いたアジアの株式市場にも影響を及ぼした。日本経済新聞は「AI革命で半導体は必須であり、日本は半導体製造装備などの分野で強みがある。この日の日本株はそうした流れを反映したものだ」と分析した。 実際に東京株式市場ではAI関連株の上昇が目立った。エヌビディアと連動して、「エヌビディア三兄弟」と呼ばれる東京エレクトロン(6%高)、アドバンテスト(7%高)、ソフトバンクグループ(5%高)などが日本株の上昇をけん引した。
AI革命で半導体需要が急増すると、米日など大国は政府が全面的に企業を支援し、一時韓国や台湾などに奪われた半導体覇権を取り戻そうと全力を挙げている。21日には米国半導体産業の中心地であるシリコンバレーのサンノゼでインテルが初のファウンドリー向けイベント「IFSダイレクトコネクト」を開いた。米政府と企業が力を結集し、半導体産業の主導権掌握に乗り出していることを示す現場だった。映像で参加したレモンド米商務長官は「さらに多くの半導体が米国で生産されなければならない。シリコン(半導体)をシリコンバレーに戻そう」と強調した。韓国、台湾など東アジアに依存する半導体生産の拠点を米国に移すことで、半導体市場をリードした過去の栄光を取り戻す目標を強調した格好だ。
インテルはAI時代を念頭に置いた「インテル半導体ファウンドリー」計画を公開した。インテルのゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は「(インテルが)欧米中心の製造業を再建する」と述べた。会場にはマイクロソフトのナデラCEO、オープンAIのオルトマンCEO、シノプシス創業者のゲウス氏、ケイデンスのデブガンCEOら米テクノロジー業界の大物が勢揃いし、半導体主導権掌握のために組織的に協力する「アメリカワンチーム」の様相を呈した。
熊本=成好哲(ソン・ホチョル)特派員、サンノゼ=オ・ロラ特派員、鄭錫愚(チョン・ソクウ)記者