▲25日、ソウル市竜山区の大韓医師協会で、全国医師代表者拡大会議を終えて出てきた出席者たち。韓国政府の医大・医学部定員増員政策の中止を要求し、韓国大統領室に向かって街頭行進をした。

 今月20日に大規模病院の初期研修医による勤務地ボイコットから始まった「医療大混乱」は26日で1週間となった。この間、韓国政府と医療界では「初期研修医によるストライキは1週間になるころが峠」という見方が多かった。初期研修医の代わりに24時間救急・入院患者に対応している医学部教授や後期研修医たちが耐え得る期間が約1週間だからだ。1週間過ぎて教授や後期研修医がバーンアウト(極度の疲労)に陥れば、主要病院で予定される手術・入院件数が普段の半数以下に減り、重症患者が窮地に追い込まれる「医療危機」が本格化するということだ。

 政府は25日、保健福祉部(省に相当)の曺圭鴻(チョ・ギュホン)長官が主宰し、教育部・法務部・行政安全部など13部処(省庁)が参加する「医師集団行動対応中央災難安全対策本部」会議を開いた。同本部は「週末にも救急診療が行われるよう、全国409カ所の救急医療機関の救急救命センターについて、24時間運営状況を点検している。また、97カ所の公共医療機関を中心に、週末と休日・祝日の診療を実施している」と述べた。その上で、「検察と警察は協力システムを構築し、(集団行動などに対する)迅速な司法処理に備えている」と述べた。

 初期研修医ストライキ後、初めての週末だった24日と25日、ソウルの主要病院の救急室は飽和状態だった。救急医療ポータル・サイトによると、25日午前の時点でソウル大学病院は26床がすべて埋まっていたという。ソウル峨山病院も11床のうち10床が埋まり、単純縫合の患者も受け入れられずにいた。セブランス病院救急室は患者の命と直結する脳出血手術さえも麻酔科の支援の有無などにより一部の受け入れしか可能でないと告知した。胃腸管出血時に実施する緊急内視鏡検査や、胆のう・胆管疾患も新規患者は受け入れられないと明らかにした。江南セブランス病院でも今回の初期研修医集団ボイコットの影響で、ソウル総合防災センターに対し「救急室への軽症患者搬送は自粛してほしい」という公文書を送った。ソウル聖母病院の場合、一般・内科集中治療室の空き病床が一つもなかった。

 ペさん(80)は同日、血液のがんを患ってソウル聖母病院に入院している弟の面会に来た。 ペさんは「弟は重病だ。ストライキ中に退院しろと言われるのではないか、重篤な時に医師がいなくて治療をきちんと受けられなくなるのではないか、と思うととても心配だ」と語った。こうした状況は地方でも同じだ。大田市内の80代女性は意識を失い、心停止状態に陥ったが、近隣の7病院の救急室から「医師がいないので受け入れられない」と搬送を拒否された。あちこちに連絡した結果、ある大学病院の救急室で治療を受けることができたという。

 病院に残った教授や後期研修医、看護師たちの疲労も募っている。この日、救急室からしばし出てきた医師や看護師たちは壁にもたれて大きく息をつき、再び救急室に駆け込んだりもした。この日、本紙記者が会った医師・看護師たちは「残っている医療従事者たちは全員が過労で疲弊している。ストライキが終わっても、先送りされた手術が一度に集中しかねない」と話した。ある患者の家族は「退職した初期研修医の代わりに、娘くらいの年齢の看護師たちが走り回り、あらゆることをしているのを見ていると胸が痛む」と言った。本紙記者に会った救急隊員は「最近は、(患者の)家族が病院の状況を先に調べている。大学病院には空き病床がないので、中規模病院や医院に行くと言う傾向が強い」と語った。

 全北大学病院の関係者は「初期研修医の離脱で、教授たちの疲労が募っているため、手術・入院患者の受け入れを減らしている。来月1日から病院に勤務する予定だった初期研修医57人のうち、大多数が任用放棄書を提出したため、医師不足はさらに深刻になりそうだ」と話す。このほか、釜山大学病院・忠南大学病院・全南大学病院など、重症患者を担う地域拠点病院に合格した初期研修医(インターン)たちも半数以上が「契約放棄」の意向を明らかにしたとのことだ。新規初期研修医の補充まで道が閉ざされたことから、現場の医療従事者の疲労度は急激に増す一方だ。2月28日と3月1日は初期研修医だけでなく後期研修医の契約も更新されるが、病院を守ってきた後期研修医たちも医療現場を離れる意向を表明しており、「医療危機」が雪だるま式に膨らむ可能性もある。

チョ・ベッコン記者、チェ・ナグォン記者、カン・ウソク記者

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