経済総合
バイオ分野に拡大した米中対立…韓国企業にチャンス到来か
米中対立が激化する中で、米国がバイオ分野でも中国企業に対するけん制を強めている。特に業界3位の医薬品製造受託機関(CDMO)である中国の薬明生物技術(ウーシーバイオロジクス)をターゲットにしており、韓国企業が反射利益を得るのではないかという期待が高まっている。
米下院の超党派議員4人は今月12日、イエレン財務長官、オースティン国防長官、レモンド商務長官に書簡を送り、安全保障を理由に中国のバイオ企業である無錫薬明康徳新薬開発(ウーシーアップテック)とその系列企業であるウーシーバイオロジクスへの制裁を検討するよう求めた。議員らはウーシーバイオロジクスが中国人民解放軍系のファンドから投資を受けるなど、中国共産党と軍事的に密接な関連があると主張した。
中国のバイオ企業に対する米議会のけん制は今年に入ってさらに強まっている。米下院は1月、自国民の遺伝子データ流出を防ぐため、中国バイオ企業の事業を制限することを柱とした「バイオ安全法(Biosecure Act)」を提案した。この法案にはウーシーアップテックと中国の遺伝子解析大手である華大基因(BGI)が名指しされている。また、米医薬品原薬イノベーションセンターは、中国バイオ企業への依存度を下げるため、5年以内に低分子有効成分の25%を米国内で生産する目標を掲げた。
米国による制裁強化を受け、売り上げの半数以上を北米が占めるウーシーバイオロジクスは深刻な打撃を受けるとみられる。バイオ安全法案が可決されれば、米政府機関がウーシーバイオロジクスなどと取引できなくなるが、それには米国の公的医療保険であるメディケア、メディケイドなども含まれる。ウーシーバイオロジクスは1月29日、投資家に対し、「米国のバイオ安全法案には陳 智勝・最高経営責任者(CEO)に対する誤った記述が含まれている。チェン代表は中国の軍関連機関には関与しておらず、機関からいかなる報酬も受け取っていない」と説明した。
香港株式市場に上場しているウーシーバイオロジクスの株価は法案が提出された1月26日に前日比18.2%急落し、その後も続落している。ウーシーバイオロジクスと親会社であるウーシーアップテックの株価は年初来既に50%近く下落した。
バイオ業界では、米国の制裁強化が世界市場でウーシーバイオロジクスと激しく競争してきた韓国のサムスンバイオロジクスには追い風になるとの見方がある。2022年時点で業界4位のサムスンバイオロジクスは、ウーシーバイオロジクスとの売上高の差が5000億ウォン前後だが、CDMO契約は1件当たり1億ドル(約1300億ウォン)を超えるケースが多いgため、いつでも逆転の可能性がある。バイオ業界関係者は「安定性と信頼が重要なCDMO業界の特性上、ウーシーバイオロジクスの顧客はサムスンバイオロジクスを選ぶ確率が高い」とした上で、「日本の富士フイルムなど上位5位以内の企業が攻勢を見せているため、サムスンバイオロジクスも積極的な投資で対応すべきだ」と指摘した。
キム・ヒョイン記者