来月20日にソウル市内の高尺スカイドームで行われるMLB(米メジャーリーグ)開幕戦がスポーツの試合から外交舞台にまで広がる可能性が浮上している。開幕戦には世界的に有名となった日本人スーパースターの大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)の出場が予想されており、これに合わせて日本の岸田文雄首相も来韓し尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と首脳会談を行う方向で調整中だという。

 日本のFNNプライムオンラインは同日「岸田首相は3月20日に韓国を訪問し、尹大統領と首脳会談を行う方向で検討中」と報じた。FNNは「岸田首相は日韓の首脳が両国を往来するシャトル外交の一環として韓国を訪問する予定」「韓国では4月に国会議員選挙があり、日本側は日韓協力に前向きな尹大統領を後押しする狙いから緊密な関係を示すため訪問を提案した。情勢を見極めて最終判断する見通し」と報じた。FNNは「20日は大谷選手のドジャース開幕戦が韓国で行われる日」「日韓の動きに注目が集まりそうだ」などとも伝えた。両首脳がこの試合を共に観戦する可能性が浮上しているようだ。

 これについて韓国大統領室の関係者は「現時点では何も進んでいない」としているが、韓日首脳会談が実現すれば、北朝鮮の核問題や韓日経済協力などの懸案が議題となる見通し。尹大統領は昨年3月に日本を訪問し、5月には岸田首相が韓国を訪れるなど、韓日首脳はこのシャトル外交を含め昨年だけで7回首脳会談を行った。

 投打の二刀流として知られる大谷選手は昨年12月、10年総額7億ドル(約1100億円)というプロスポーツ史上最高額でドジャースと契約した。肘の負傷で今シーズンは投手としては出場できないが、打者としては通常通り出場する予定だ。大谷選手は今月4日にMLBドットコムとのインタビューで「リハビリはスケジュール通り順調に進んでいる」「開幕戦に出場できると確信している」と述べた。

 大谷選手が所属するドジャースは今回韓国で4試合を行う。3月17日には韓国プロ野球チームのキウム、18日にはKBO(韓国野球委員会)代表選手による「チーム・コリア」との親善試合が予定されている。3月20-21日にはMLBソウル・シリーズとしてサンディエゴ・パドレスとの開幕2連戦が行われる。

 中でも開幕戦は韓国と日本のメジャーリーガーらが数多く出場することもあり、韓国はもちろん日本の野球ファンからも大きな注目を集めている。ドジャースには大谷に加えて3年連続で日本プロ野球投手四冠王(最多勝、防御率、奪三振、勝率)となった山本由伸選手も加わった。パドレスには韓国の金河成(キム・ハソン)と高佑錫(コ・ウソク)、日本のダルビッシュ有と松井裕樹選手が所属している。

 1月26日から始まったソウル・シリーズのチケット販売は即時完売が続いている。1万6670席の高尺スカイドームはソウル・シリーズ開幕に向け今も改修工事が行われている。内外野の人工芝を全て入れ替え、マウンドやフェンス、クラブハウスの施設も改修中だ。今回のソウル・シリーズが決まったのは昨年7月で、直後に高尺ドームを視察したMLB事務局はメジャーの公式戦を開催できるレベルにまで球場の環境を改善するよう要求した。

 「MLB事務局はソウル・シリーズに在韓米軍や駐韓米国大使館の職員らを招待する」との声も聞かれる。韓日首脳をはじめ多くのVIPが開幕戦を観戦するようになれば、韓国・米国・日本の各国が観客席から自国の選手たちを応援する様子が見られそうだ。尹大統領は昨年4月1日の韓国プロ野球開幕戦で韓国代表のジャンパーを着て始球式を行った。岸田首相も3月10日に東京ドームで開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の韓日戦で始球式に臨んだ。

キム・ドンハ記者、キム・ヨンジュン記者

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