▲李康仁(イ・ガンイン)とソン・フンミン。写真=news 1

枠内シュート0本はこのせいだった?

アジア杯で分裂したサッカー韓国代表チーム

 こうしたことがあったから拙戦を繰り広げたのだろうか。アジア・サッカー連盟(AFC)アジアカップ・カタール大会準決勝のヨルダン戦を前に、サッカー韓国代表チームのキャプテン、ソン・フンミン(31)=トッテナム・ホットスパー=と、李康仁(イ・ガンイン、22)=パリ・サンジェルマン=ら後輩たちが口論の末にもみ合いとなり、その過程でソン・フンミンが指を脱臼、テープを巻いて試合に出場していたことが明らかになった。

 英大衆紙ザ・サンは14日、「トッテナムのスター、ソン・フンミンがアジアカップ準決勝前日の夕食の場で李康仁ら後輩たちと言い争いになり、指を脱臼(dislocated)した」と報道した。 大韓サッカー協会もこの報道について「そういうことがあった」と認めた。

 ザ・サンの報道と大韓サッカー協会の説明を基に事の顚末(てんまつ)をまとめると以下の通りになる。準決勝前日、李康仁、鄭優営(チョン・ウヨン、24)=シュトゥットガルト=、薛英佑(ソル・ヨンウ、25)=蔚山現代=ら一部の若い選手たちは夕食を早く済ませて卓球をした。すると、主将のソン・フンミンがチームの結束を固める場だと考えている食事を先に済ませて個人行動をしたことを叱り、口論になった。この時、後輩たちの無礼な態度に激怒したソン・フンミンが李康仁の胸ぐらをつかみ、これに李康仁が反発して殴りかかる騒動が起こった。周囲にいた選手たちがこの2人を引き離そうとした際、ソン・フンミンが指を負傷した。英紙デイリー・メールも「ソン・フンミンが先に立ち上がった李康仁に不満を口にし、口論が激しいもみ合いになった」と報じた。

 指を痛めたソン・フンミンは7日のヨルダン戦で、右人差し指と中指に白いテープを巻いて出場した。サッカー関係者は「大会期間中、ソン・フンミン、金ミン哉(キム・ミンジェ、27)=FCバイエルン・ミュンヘン=、黄喜燦(ファン・ヒチャン、27)=ウルバーハンプトン=らベテランメンバーと李康仁との間に確執があった」「スペインで育った李康仁は韓国でサッカーを学んだ選手たちと情緒的に違い、よくぶつかっていたそうだ」と語った。この事件が起こった後、ベテラン選手たちはユルゲン・クリンスマン韓国代表監督(59)=ドイツ=の所へ行き、李康仁をヨルダン戦の先発から外すよう要請したが、クリンスマン監督はこれを受け入れなかった。

 「韓国代表チーム内の新旧世代の確執は、実は以前からあった」とサッカー関係者は話す。 ソン・フンミン、金英権(キム・ヨングォン、33)=蔚山現代=、金珍洙(キム・ジンス、31)=全北現代=、李在成(イ・ジェソン、31)=1.FSVマインツ05=ら30代の選手グループと、金ミン哉、黄喜燦(ファン・ヒチャン、27)=ウルバーハンプトン=、黄仁範(ファン・インボム、27)=レッドスター・ベオグラード=ら1996年生まれのグループは練習のたびに別々に集まるという話は随時あった。海外組と国内組の関係もギクシャクしている。昨年11月に中国とワールドカップ(W杯)予選の試合を行った後、欧州組の選手たちが韓国に早く帰ろうと、自費でチャーター機を借りて帰国した件は、その溝の深さを示している。アジアカップの現地練習場では、ある欧州組のFW選手が「あまりにも強くマークしてくる」としてKリーガーのDF選手にボールを蹴りながら怒る姿も目撃された。

 また、昨年3月にはソン・フンミンが「韓国代表チームに選ばれて光栄」と写真交流サイト(SNS)「インスタグラム」に投稿するや、金ミン哉が突然、ソン・フンミンのフォローを外し、両選手の間で不仲説が浮上したこともある。

 李康仁は14日、一連の報道が波紋を広げているのを受けて、インスタグラムに「先日のアジアカップ準決勝戦を前にソン・フンミン先輩と口論になったという記事が報道されました。いつも韓国代表チームを応援してくださっているサッカーファンの皆様をひどく失望させてしまいました。本当に申し訳ございません。私が進んで先輩方の言葉をきちんと聞くべきだったのに、サッカーファンの皆様に芳しくない姿をお見せすることになってしまい、申し訳ない気持ちしかありません。私に失望した多くの方々におわびいたします」と投稿した。しかし、もみ合った相手である先輩ソン・フンミンや韓国代表のチームメイトたちには謝罪しておらず、また別の憶測を生んでいる。

 今回の件を巡り、クリンスマン監督の統率力が再び俎上(そじょう)に載せられている。韓国代表監督就任当初は「戦術的な力はやや物足りないが、選手たちのモチベーションを上げ、コミュニケーション能力に優れたマネージャー型司令塔」と評されたが、結果的にはこれさえも不十分だったのではないかという指摘だ。大韓サッカー協会は15日午前11時に戦力強化委員会を開き、今回のアジアカップの結果を評価する。大会を終えて韓国に戻った二日後の10日、自宅がある米国に渡ったクリンスマン監督は、画像で会議に出席する予定だ。 15日の委員会ではクリンスマン監督の去就について本格的な協議が行われるものとみられる。

チャン・ミンソク記者

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