▲イラスト=UTOIMAGE

 「自分の親なら老人ホームに送るのか」(オンライン・コミュニティー)

 「だからといって、一緒に暮らすことだけが能ではない」(オンライン・コミュニティー)

 70代後半のしゅうとめを老人ホームに送ろうと夫に提案したところ、「うば捨て山」と変わらないと言われたという女性の意見に、韓国のネット上ではさまざまな意見が飛び交っている。

 1月30日、あるオンライン・コミュニティーに「しゅうとめと老人ホーム」と題し、こうした事情を盛り込んだ書き込みが掲載された。掲載したAさんによると、70代後半のしゅうとめは若くして離婚し、現在一人で暮らしている。しゅうとめは脳腫瘍の手術を何度も受けており、現在も脳疾患によって入退院を繰り返している。関節を痛めたことで、行動は起き上がるのも困難だ。Aさん夫婦は車で往復1時間の所に住んでいるが、しゅうとめが病院などの問題でAさんの夫に頼っており、Aさんの夫もひんぱんに立ち寄っては母親の面倒を見ている。

 そうこうしているうちに問題が勃発した。Aさんの夫が「母親の面倒を見ようかと思う」と話を持ち出したことで、Aさんは「老人ホームに送って差し上げるべきでしょう」と答えた。これに対し、Aさんの夫は「私は長男で、母親はまだ若く、痴呆になっているわけではないのに老人ホームは絶対駄目だ」とし「現代版の『うば捨て山』でもあるまいし、絶対に送れない」と強く反発した。Aさんの夫は「両親が病気になれば、長男が面倒を見るもの」とし「近くで暮らしながら世話をしたい」と提案した。

 しかし、Aさんは「しゅうとめが一人で生活できないわけでもなく、私たち夫婦も現在共働きをしているので、しゅうとめのお世話をする自信がない」と言った。次いでAさんは、同居や引っ越しに対する負担を吐露し「たとえ薄情だと言われたとしても、大変なら老人ホームに送るのが良いのではないか」とし「痴呆ではないにしても、通常ケアが必要な場合は老人ホームに行くことができるのではないか」と逆に聞き返した。

 これに対してネチズン(インターネットユーザー)たちは「老人ホームも自己管理がある程度できなければ待遇されない。むしろ、痴呆になる前に老人ホームに行ってこそ、よくしてもらえる」「家庭がある場合は老人ホームに送った方がいい。母親の面倒を見ることで、家の中が苦しくなる」「老人ホームに対する固定概念を変えなければならない。高齢者にとって十分な環境であり、何でもかんでも一緒に暮らすからと言って必ずしもいいとは限らない」と書き込んだ。

 「子どもが元気なのに親を老人ホームに送るというのが気に掛かるなら、夫が一人でお母さんの家に行って週末婚にすればいい」という意見もあった。

 しかし、「認知症を患っているならまだしも、そうでないとすれば、親を老人ホームに送るというのは子どもの立場からして難しい」「気がしっかりしている高齢者は老人ホームに送られると、子どもたちに捨てられたと思って寂しがる。答えのない問題だ」「逆の立場になって考えてみれば、実家の親を老人ホームに送りたいだろうか。本人の親ならどうするかをよく考えてから、しゅうとめについて決めるべき」などの意見も見られた。

 「しゅうとめと近い家に引っ越すが、ヘルパーを探してお世話をお願いし、夫が随時訪れるようにするのも一つの手だ」「しゅうとめを昼間保護センターに送るのはどうか」などの提案もあった。

■高齢者はいつ、どんなとき、老人ホームに入所するのか

 老人ホームに入所する年齢はどのくらいで、老人ホームへの入所前、体が不自由な状態での家庭生活は果たして可能なのか。米国の研究事例を見てみると、老人ホームに長期入所する高齢者の平均年齢は現在のところ84歳で、老人ホームへの入所に先立ち高齢者の深刻な障害により家族への依存度が増していくケースが数カ月間続くことが分かった。

 米コロラド大学アンシュッツ・メディカル・キャンパス老人医学科で准教授を務めるケネス・ラム博士が行った研究によると、老人ホームに入所する人々はすでに深刻な障害を患っているケースが一般的で、ほとんどの場合、少なくとも1カ月以上にわたって週に約27時間のケアを受けていることが分かった。深刻な障害とは、服を着ること、入浴すること、家の中で移動することなど、日常生活ですでに誰かの助けを必要としている場合をいう。

 老人ホームに入所する前の数カ月間、または数年間、多くの家族構成員が高齢者の世話をしながら深刻な障害に対処しなければならない上、老人ホームへの入所は高齢者の障害の度合いがある程度進んで以降に進められる傾向にあることが分かった。これは、老人ホームに入ると、どんなことが起こるか分からないということに対する恐怖心と、費用に対する負担が大きく作用していることが分かった。

イ・ヘジン記者

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