▲写真=UTOIMAGE

 中国で、今年結婚すると不運に見舞われるという「寡婦(未亡人)の年」の俗説が広まっている。中国の若者層の結婚離れが加速化するとみられることから、中国当局が「迷信を信じるな」と取り締まりに乗り出した。

 香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)、チャイナ・デイリーなどが5日(現地時間)に報じたところによると、中国民政部のホームページの掲示板には先月11日、「今年が『未亡人の年』といううわさが流れているが、これは常識と科学から大きく外れている」と指摘する書き込みが匿名の市民から寄せられた。

 投稿者は「人々が迷信や俗説に振り回されずに結婚できるよう、関係省庁が対応してほしい」と要請した。これに対し、民政部は同月22日「あなたが提起した問題に注意を傾けている」と回答した。

 「未亡人の年」は、24節気の「立春」が陰暦の正月(旧正月)よりも早い年だ。今年の立春は2月4日だが、旧正月は2月10日で立春より遅い。また、来年は旧正月が1月29日で立春より早いため、陰暦の2024年には立春が存在しないことになる。

 そのため中国では「春のない年」だとして、結婚すると不運に見舞われると信じられている。

 SCMPは「春は誕生と再生を象徴するため、1年のうち最も活気にあふれる時期と考えられている」として「『未亡人の年』ともいわれる『春のない年』は、結婚すると不運に見舞われると信じられている」と説明した。

 さらに「民政部に寄せられた当該投稿は、中国の若者たちが家庭を築いて子どもを生むことを徐々に避けるようになり、過去2年で人口が減少して高齢化社会が急速に進行する中で出たものだ」と指摘した。

 こうした中、中国中央テレビ(CCTV)も先週、大衆を教育して恐怖心を緩和するために、「春のない年」と不運には何の関係もないと強調した上で、立春のない陰暦の年は珍しいことではないと報じた。CCTVはさらに、陰暦の2019年と21年にも立春がなかったと指摘した。

 中国は人口が22年、23年と2年連続で減少し、インドに世界1位の人口大国の座を譲った。新生児数も2年連続で1000万人を割り込んだ。その一方、昨年の死亡者は1110万人で、全人口は208万人減の14億1000万人だった。

 ここ数年間は中国政府が出生率を引き上げるためにさまざまな支援策を打ち出したが、経済が鈍化する中で若者たちは家庭を築くことを躊躇している。22年の中国の婚姻件数は683万件で、13年の1347万件からほぼ半減した。

 こうした中、今年は縁起が良いとされる「青龍の年」であるため、「未亡人の年」の迷信に打ち勝つことができるか注目されると現地メディアは報じている。中国文化では青龍の年に生まれた子どもは成功と権力に恵まれると信じられている。

 SCMPは「青龍の年に子どもを生むことは祝福と考えられている」として「今年が結婚にとって悪い年と考えられていても、一部の人は今年が子どもを生むのによい年と考えている」とつづった。

 実際に、今年6月に結婚を控えているという会社員のパン・ミャオさん(29)は、チャイナ・デイリーに対し「友人たちの多くが、未亡人の年を避けるために結婚を前倒ししたが、私は中国文化の縁起の象徴である『龍の年』に結婚する予定」と話した。

キム・ジャア記者

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