【ソウル聯合ニュース】韓国政府は医師不足の解消に向け、大学医学部の入学定員を2025学年度の入試から2000人増やすことを決めた。保健福祉部が6日、保健医療政策審議委員会で発表した。大学医学部の入学定員は2006年度から24年度まで3058人で据え置かれていたが、来年度の定員は65.4%増加し5058人となる。

 医大の入学定員増は、済州大に医学部が新設された1998年以来、27年ぶりとなる。定員は98年に3507人に増えたが、2000年の医薬分業導入の際に医師側の意見が尊重され、定員は06年に3058人に削減された。

 しかし、このままでは医師不足で地域医療と最低限の医療サービスが逼迫(ひっぱく)するとみて、保健福祉部は22年後半に定員増員の方針を明らかにし、医療業界や社会、市民団体から意見を聞き取ってきた。

 同部が昨年11月に医大定員増員に関する調査を実施したところ、25学年度入試での大学側の増員希望幅は最小2151人、最大2847人だった。これに比べるとこの日発表された増員幅は小さいが、1000人台前半の増員という当初の予想に比べると大幅増となった。

 保健福祉部は定員増員分について、首都圏以外の医大を中心に割り当てて、その後の医師需給を周期的に検討・調整しながら合理的に需給管理すると説明した。

 今月1日に行われた国民参加型の新年業務報告でも、保健福祉部は10年後の35年には医師が1万5000人不足するとの見通しを示し、補充が急がれると強調した。

 経済協力開発機構(OECD)の統計によると、21年に韓国の臨床医師数(韓国伝統医学の韓医師を含む)は人口1000人当たり2.6人だった。OECD平均(3.7人)を下回り、OECD加盟国の中ではメキシコ(2.5人)に次いで少ない。また韓国で20年時点の医大卒業者は人口10万人当たり7.2人と、OECD平均(13.6人)の半分程度にとどまる。

 一方、医師団体側は医大定員増員に強く反発している。大韓医師協会はこの日記者会見を開き、定員増員を強く批判。全国広域市道医師会長協議会は「政府が一方的に必須医療政策パッケージと医大増員を強行するなら、専攻医(研修医)らと共に全面ストも辞さない」と表明した。集団休診やストライキなどの団体行動に乗り出す可能性がある。

 政府は、インターンやレジデントなど専攻医がストに踏み切れば医療現場に及ぼす混乱が大きいとみて、スト決行に対し直ちに業務復帰命令を出し、従わない場合は懲戒処分など強硬に対応する方針を固めた。

 与党だけでなく野党も医大定員増員に賛成しており、国民の多くも増員を支持している。保健医療労組が昨年12月に公表した世論調査結果によると、回答者の89.3%が定員拡大に賛成すると答えた。

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