韓国で「心の病」を患う青少年が急増する中、10代に対する医療用麻薬の処方量が増えている。

 韓国刑事・法務政策研究院が発表した「青少年麻薬類犯罪および対応方案」と題する報告書によると、10代に処方された医療用麻薬類が2019年の3608万個から22年には4932万個へと増加した。青少年1人当たりの処方量は2019年の54個から22年には81個へと50%増えている。精神安定剤や多動性障害(ADHD)治療薬、食欲抑制剤などを通じて処方されている。医療用麻薬は中毒および副作用の恐れが大きいため、医療スタッフが厳しく管理しなければならない。亜州大学薬学科のイ・ボムジン教授は1月29日、「医療用麻薬は合法であるため、(青少年にとっては)求めやすく、手を付けるのも容易」とし「足りないから処方量を増やしてほしいと患者に頼まれれば、医師は無視できない」と現場の困難に触れる。

 青少年の間で「ゾンビ麻薬」と呼ばれているフェンタニル(麻薬性鎮痛剤)の成分を乱用することも問題だ。フェンタニルはモルヒネの100倍以上の中毒性で幻覚症状を引き起こすことから、がん患者など重症患者に対してのみ使用される。しかし、皮膚に貼る「フェンタニル・パッチ」は、病院で受け取った処方箋さえあれば簡単に入手することができる。比較的安く、使用するのも容易であるため、青少年たちの間で好まれている。韓国国内の全年齢帯の1人当たりのフェンタニル・パッチの処方量が2019年の18個から22年には19個と、5.6%増加する間、10代に処方されたフェンタニル・パッチは45個から83個へと84.4%も急増した。これは15倍も多い数値だ。成均館大学科学捜査学科のチョン・ヒソン教授は「青少年たちはフェンタニル・パッチを幾つか集めた後、火で燃やして煙を吸入するなど、幻覚目的で使うケースが多い」と説明する。

 ソーシャルメディアでも医療用麻薬を入手することができる。食欲抑制剤であるジエタミンやフェンタニル・パッチと検索し、ヒットしたサイトで入金すれば配達される。カトリック大学精神健康医学科のイ・ヘグク教授は「青少年らがどんな種類の麻薬類をどれだけ処方されたのか、確認して管理することが大切だ」と警鐘を鳴らす。10代による麻薬事件は急速に増えている。最高検察庁によると、青少年による麻薬事件は2019年の239人から昨年1-11月までに1380人と、5年で6倍近くに増えている。

パク・ヘヨン記者、キム・ヨンウ記者

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