▲ソウル市内のある高校の体育館で練習中の男子バレーボール部。部員は8人しかいないため、部内で練習試合はできない。ソウル市内で男子バレーボール部がある高校は2校しかない。12月15日撮影。/パク・サンフン記者

 女子ホッケー韓国代表(世界ランキング13位)は1月17日、スペインのバルセロナで開催された2024年パリ・オリンピック女子ホッケー最終予選グループステージA組第3戦でアイルランド(14位)に1-3で破れ、1勝2敗でオリンピックへの出場はかなわなかった。前回の東京オリパラに続き2大会連続でオリンピック出場失敗だ。かつて銀メダル2回(1988年、96年)の実績を持つ韓国の女子ホッケーだが、今やオリンピックではメダルどころか出場もできない状況となった。

 今年7月に予定されているパリ・オリンピックの球技で韓国代表は次々と出場権獲得に失敗している。男女のバスケットボール、男子ハンドボール、女子サッカーはすでに予選敗退し、男女のバレーボールも出場は事実上無理な状況にある。パリ大会出場が決まっているのは女子ハンドボールくらいだ。男子サッカーは4月のU23(23歳以下)アジア大会でパリ行きに挑戦する。女子ハンドボールは昨年末の世界選手権で参加32カ国中22位にとどまり、過去最低の成績に終わった。球技の韓国代表は前回の東京大会で男子サッカーと女子のバスケットボール、バレーボール、ハンドボールの4種目で世界の強豪と互角に戦ったが、パリでは2種目出場できるかどうかも危うい。

■選手数を満たすので精いっぱい

 このように特に球技において韓国が世界の舞台で存在感を失いつつある最も大きな原因は選手不足だ。少子化はスポーツ界にも深刻な影響を及ぼしている。ホッケーは昨年の時点で韓国国内の登録選手数(大韓体育会)は1638人(女子594人)で、これは欧州各国の10分の1ほどだという。他の種目も同じような事情を抱えている。

 昨年12月に大田市中区の大田女子商業高校体育館を取材したところ、2人のバスケットボール部員が練習していた。バスケットボールのコートはプロ・チーム・レベルだが、実際このコートを活用するバスケットボール部員はいない。これまでこの高校ではバスケットボール部員は6-7人と決して多くはなかったが、それでも部そのものは何とか存続してきた。ところが今ではそれも難しくなっている。昨年は部員が5人いたので何とか大会に出場できたが、うち3人が今年卒業し、入学が決まっている部員は現在1人もいない。コーチのイ・イェナさんは「まずは1人か2人でも登録し、バスケットボール部の廃部を食い止め、1年かけて選手を集めようと考えている」と述べた。

 コーチたちは小中高校に熱心に出向いているが、そこでやる仕事は才能ある選手の発掘ではなく、選手そのものを集めることに変わった。群山高校バスケットボール部コーチのチェ・ミョンドさんは「昨年は選手たちの負傷が相次ぎ、また退場などで5人そろわず没収試合を経験した。今年はそんなことがないよう何としても選手を集めねばならない」と述べた。

■ユースのコーチは今や営業社員

 ソウル市内の名門バレーボール部を持つ高校で2001年から監督を続けているキム・ジョングンさんによると、この高校では多い時には20人ほど部員がいたという。ところが先月この高校バレーボール部を取材すると練習中の部員はたった8人しかいなかった。卒業を控えた選手4人が抜けた後とはいえ、バレーボールは6人で1チームのため部内で練習試合もできなくなった。キムさんは「親を説得して生徒を入部させることが今の監督の仕事だ」「監督はいわば営業社員のようなものだ」と嘆いた。

 才能ある選手がどこかに1人でもいることが分かれば、その選手を連れてくるため各校の競争が始まる。まず身長が高いだけで無条件に注目が集まる。群山高校バスケットボール部コーチのチェさんは昨年光州まで出向き、バレーボールをしている中学生をバスケットボールに転向させるため4-5回出張して説得を続け、ついに成功した。バスケットボールがうまいか下手かは関係ない。まずは人数を集めることが大きなハードルのため、選手のレベルも全体的に下がっている。あるバレーボール関係者は「最近高校を卒業した選手たちの実力は20年前の50%ほどだ」と語る。世界の舞台で韓国代表が苦戦する大きな理由がここにある。

 バレーボールやバスケットボール関係者の間では「選手の背が高い種目から順番に弱体化するだろう」と冗談っぽく語られている。どちらも身長が高いほど有利な種目だが、選手がいないので今では身長に関係なく誰でも受け入れる流れが定着しているからだ。

■将来を見据えた育成プランも不在

 少子化はもちろん韓国だけの問題ではないが、特に球技でその競技レベル低下をもたらしている理由は各種目の中央競技団体による選手育成プランや戦略が不十分な点も大きい。あるバスケットボール関係者は「韓国の世代別代表チームは試合がある時に招集され、わずか数日の練習で呼吸を合わせて大会に出場するケースが多い。これに対して日本は1年中、随時代表候補が集まり一緒に練習するので、チームスポーツの特性から考えて組織力の面でどうしても差が出る」と指摘する。かつて韓国代表はどの世代もアジアでは比較的高い身長や個人技で有利に試合を進めることができた。ところが最近は選手層が薄いため、組織力を高めなければ国際大会で存在感を発揮できなくなっている。

 昨年の杭州アジア大会で初めてメダル無しの惨敗に終わったバレーボールではプロチームごとにユース部門を立ち上げるなど努力を重ねている。しかしどのチームも「安定した育成の仕組みを整えることよりも宣伝ばかり」といった批判を受けている。大韓バレーボール協会は杭州での惨敗を受け強化に向けた公聴会を開催し「生徒や学生の練習時間確保」「ユースの集中育成」などさまざまなテーマで議論を行ったが、これといった成果はなかった。解決策は出ず問題提起だけで終わったのだ。あるバレーボール関係者は「協会にビジョンがあるのか」と不満をあらわにした。

キム・ミンギ記者、パク・カンヒョン記者

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