アジア・サッカー連盟(AFC)アジアカップの決勝トーナメント1回戦で韓国がPK戦の末にサウジアラビアを破る中、サウジアラビアのロベルト・マンチーニ監督(イタリア)=59=がPK戦の途中でピッチを後にし、現地で論議を呼んでいる。昨年8月に選任されたマンチーニ監督の年俸は2500万ユーロ(約40億円)とされている。この年俸は、今回のアジアカップだけでなく全世界の監督の中でも最高額だ。

 マンチーニ監督のインスタグラムなどには31日現在、この行動を批判するサウジのサッカーファンからの抗議コメントが殺到している。マンチーニ監督の母国イタリアはもちろんのこと、欧州やアラブ圏の多数の外国メディアも一斉にこの異例の行動を報じた。

 韓国代表は同日未明に行われた決勝トーナメント1回戦でサウジと1-1のまま時間内に決着がつかず、PK戦で4-2で勝利した。後半アディショナルタイムに曺圭成(チョ・ギュソン)が同点弾を決めると、GK趙賢祐(チョ・ヒョヌ)がPK戦で2回の好セーブを見せ、勝利をつかんだ。アジアカップで韓国がサウジを破ったのは36年ぶりだ。

 マンチーニ監督は試合中、サウジの4人目のキッカーがPKを失敗すると、試合会場の外に出てしまった。韓国の4人目と5人目が失敗してサウジの5人目が成功すれば同点になる状況だったにもかかわらず、試合を諦めてしまったのだ。

 サウジ現地のサッカーファンたちは強く反発し、マンチーニ監督のインスタグラムなどに殺到してコメントを書き込んだ。

 あるサウジのファンは「我々が負けたからこんなことを言うわけではないが、我々に背を向ける人は我々と一緒にやる資格はない」とつづった。別のファンは「サウジから出ていけ。もう見たくない」と書き込んだ。

 ほかにも「あのような状況で選手たちだけを置き去りにするのは卑怯(ひきょう)だ」「あの瞬間になぜ立ち去った? 失敗に直面するのが怖かったのか?」「我々が負けた第一の理由はお前だ。全ての責任はお前にある」「サウジはあなたよりももっとマシな人に出会う資格がある」選手たちにモチベーションを与えるどころか挫折させる監督は初めてだ」「あなたは選手たちに背を向けた。一銭も受け取る資格はない」「逃げていけ臆病者め、あなたはサウジの反逆者だ」などの反応が見られた。

 中には、マンチーニ監督をののしった末に、暴力を振るうと脅すコメントもあった。

 サウジ現地メディア「サウジ・ガジェット」が31日に報じたところによると、サウジアラビア・サッカー連盟(SAFF)のヤセル・アル=ミセハル会長は、マンチーニ監督がPK戦終了前に試合会場を離れたことについて「完全に容認できないこと」と言い切った。

 アル=ミセハル会長は「監督の退場は全く受け入れることができず、我々はなぜこのようなことが起きたのか彼と話し合う予定だ。その上で適切な措置を決める」と述べた。

 マンチーニ監督は自身の振る舞いについて「一生懸命にやろうとしていた選手たちにどんな言葉を掛けるべきか分からず出ていった」と答えた。負けた原因については「わがチームもよくやったが相手の方が強かった」と述べた。

 マンチーニ監督はイタリア・セリエAで3連覇、イングランド・プレミアリーグで優勝、UEFA欧州選手権(EURO)優勝など華麗な経歴を持つスター監督だ。

キム・ミョンイル記者

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