ソウル中央地裁358号法廷。判決公判が始まる26日午後2時になると、3人の判事が法廷に入った。判事が持参した裁判資料の高さは40センチに達した。

 マスク姿で目を閉じたまま開廷を待っていた梁承泰(ヤン・スンテ)元大法院長(76)、朴炳大(パク・ピョンデ)元大法官(66)、高永銲(コ・ヨンハン)元大法官(69)は被告人席から立ち上がり、判事に頭を下げて挨拶した。傍聴席には梁前大法院長と共に「司法行政権乱用事件」で起訴され、大法院で無罪が確定した元ソウル中央地裁首席部長判事の林成根(イム·ソングン)氏、申光烈(シン・グァンリョル)氏、柳海鏞(ユ・ヘヨン)元大法院首席裁判研究官ら司法の後輩や傍聴人ら約80人が座った。

 裁判長を務めた李鍾民(イ・ジョンミン)部長判事は、事前に準備したプレゼンテーション資料を手渡しながら、検察が起訴した梁元大法院長の47件の起訴事実について、一つずつ無罪の理由を説明した。「犯罪の証明がない」という裁判長の言葉が続いた。

 梁元大法院長は時々眉をひそめながら、判決内容に集中した。元大法官2人も判決文が読み上げられる間、ずっと目を閉じていた。裁判長は午後4時10分ごろ、判決の途中で異例の10分間休廷を宣言した。

 裁判長による判決文読み上げは午後6時25分に終わった。4時間25分かかった。2018年4月に2時間かけて行われた朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領の「国政介入事件」の一審判決に比べ2倍以上を要した。ある司法関係者は「司法史上最長だろう」と話した。

 裁判長が最後に「被告人にそれぞれ無罪を宣告する」と述べると、傍聴席から拍手が沸き起こった。ようやく被告人席の3人の口元に笑みがこぼれた。互いを眺めながら握手をした。

 裁判所を出た梁元大法院長は「当然の帰結だ。明白に判決を下してくれた裁判所に敬意を表す」と述べた。梁元大法院長は2019年5月の初公判で検察の起訴内容について、「本当に小説のような話」だと批判した。昨年9月の結審時には「司法府に対する政治勢力の陰険な攻撃がこの事件の背景であり、検察が捜査という名目で尖兵の役割を果たした」とした上で、「特定人物を標的にした『ほこりたたき』の典型であり、違法な捜査権乱用だ」と主張していた。司法関係者は「起訴事実に丸ごと無罪判決が出るとは梁元大法院長も全く予想できなかったと思う。裁判所は勇気を持って判断した」と指摘した。

 判決当日は梁元大法院長の誕生日でもあった。梁元大法院長は18年6月、検察捜査が本格化すると、京畿道城南市にある自宅を出て、知人の家に泊まり、門外不出の生活を送った。19年1月に逮捕状が交付され、ソウル拘置所の独房に収監された。同年7月、179日ぶりに保釈で釈放された後は、在宅起訴の状態で裁判を受けた。

 20年1月に肺がんが発見され、京畿道城南市の盆唐ソウル大病院で肺の一部を切除する手術も受けた。司法関係者は「高齢なのに長期間検察による捜査を受け、収監されるという状況に直面すれば、誰でも耐えられなかっただろう」と話した。

 梁元大法院長の在任中に中心的役割をした裁判官らもこの事件で相当な苦しみを味わった。ソウル中央地裁の林成根元首席部長判事は「裁判介入疑惑」を理由に憲政史上初めて裁判官弾劾審判の対象になった。憲法裁判所は民主党主導による弾劾訴追を21年10月に却下。林元首席部長判事は翌年、大法院で無罪が確定した。

 この事件で梁元大法院長より約3カ月前の18年11月に起訴された林鐘憲(イム・ジョンホン)元法院行政処次長は2月5日に一審判決が予定されている。林元次長に対する検察の捜査記録もA4で20万ページ分に上るという。林元次長は裁判初期に狭い拘置所独房で直接記録を見て、意見書を書いた。司法関係者は「梁元大法院長と林元次長は裁判所で会っても目礼で、互いに近況を尋ねることもできなかった。同じ事件で裁判を受けているため、誤解を招くと思ったのだろうが、つらい心境だっただろう」と話した。

ホ・ウク記者、イ・ミンジュン記者

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