▲写真=UTOIMAGE

 喫煙している人の半分は、喫煙が原因となる疾患で死亡する。心血管疾患、肺がんや食道がんなどの各種がん、慢性閉塞性肺疾患などがこれに該当する。喫煙をやめると、たばこを吸ったことによる超過死亡率を低下させることができるが、疾患別に死亡率がいつどれくらい低下するのかについてはあまり知られていない。最近、アメリカ医師会誌の内科編でこれに関する研究が発表された。

 研究は、5年以上喫煙を続けた健康な米国人43万8015人を対象に実施された。対象者たちがたばこをやめた後、心血管疾患、がん、呼吸器疾患による死亡率がどのように変化するのかについて、30年間にわたり喫煙を続けた人および非喫煙者と比較分析した。

 追跡観察期間中、心血管疾患によって1万1860人、がんで1万935人、呼吸器疾患で2060人が死亡した。喫煙を続けた場合は非喫煙者に比べ、心血管疾患による死亡率が2.3倍、がんは3.4倍、呼吸器疾患は13.3倍高かった。

 しかし、たばこをやめて10年以内に心血管疾患、がん、呼吸器疾患による超過死亡率がそれぞれ64%、53%、57%低下した。20年後には心血管疾患による死亡率が、30年たつとがん、呼吸器疾患による死亡率が、非喫煙者と同じくらいになった。

 喫煙は血管内における酸化ストレスを誘発し、血管内皮細胞などを損傷させ、動脈硬化症を誘発する。たばこの煙は各種発がん物質を含んでいる。たばこをやめると、喫煙関連疾病リスクを著しく低下させることができるが、非喫煙者のレベルまで到達するには20年以上かかる。喫煙は初めからしないのが一番よく、今しているならば一日でも早くやめることで、禁煙効果を最大限得ることができる。

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