▲共に民主党の李在明代表が今月2日、釜山市の加徳島新空港建設現場で襲撃された。写真は襲撃を受けた当時の李代表の姿/ニュース1

 李在明(イ・ジェミョン)共に民主党代表襲撃事件に関連する「現場」は4カ所だ。1番目は襲撃地点である加徳島、2番目は釜山大病院救急室、3番目は釜山警察庁被疑者取り調べ室、4番目はソウル大病院の手術室だ。私はそれら現場にはいなかったし、証拠の犯行道具を直接見ることもできなかった。さまざまなメディアを通じ、映像と写真を見て、話を伝え聞いたにすぎない。

 事件初期に私が知っていることは限られていた。ややもすると思い込みが生じたり、振り回されたりしやすい状態だった。そのため、私は「真実」か「陰謀」か命を懸けてどちらかを選択しろと言われたら断る。それが国を救うことにつながるわけでもないのに、一つしかない命を懸けることなどできない。しかし、自分が何を信じているのかと問われれば、それは事件が「K容疑者による単独犯行が失敗した」と答える。

 陰謀論者たちは当初、K容疑者の背後に誰か反抗を教唆した人物がいるかのように煙を立てていたが、それがうまくいかなかったため、警察と首相室が事件を縮小しようとしたとか、状況上教唆が推定されるという「仮定疑惑」を持ち出した。一時的に疑惑を抱いたというレベルではなく、首相室をソウル警察庁に正式に告発した。

 私は李代表の首の傷に対する携帯メールでの報告が「当初1.5センチだったが、後から1センチに変わった」という点に文句をつけたり疑惑を抱いたりはしない。外見上「重傷」だったか「軽傷」だったかという論議も法律、規定、慣例など全てに照らし、民主党に有利なことはなさそうだ。それらは「K容疑者の単独犯行」という結論を少しも揺るがすことはできない。私は釜山警察庁による捜査結果の発表、ソウル大病院による手術結果の発表、首相室の説明と対応を信頼する。簡単に言おう。総選挙に出馬して党の公認に必死の告発政治家より救急隊員、警察官、医療陣、対テロ状況室が言うことを信じる。

 「陰謀論」の震源を明らかにしようとすれば、「その事件で誰が得をするのか」を見極めるのが早道だ。選挙を控えた時期に起きた襲撃事件で最も恩恵を受けるのは、同情世論が沸き起こった李代表本人と民主党だ。つまり、民主党が陰謀論を提起することは、受恵者が陰謀論者を名乗るようなものであり、自分の手で自分の目を刺すような自己矛盾と言える。

 次に李代表による「自作自演説」を検討しよう。「李代表本人、そして彼と手を組んだ一部勢力が自作自演した」という陰謀論がユーチューブを中心に広がった。凶器を左手に隠し、右手で紙に隠した割り箸を使い、首を刺すふりをしたという推定と現場状況に頼った疑惑提起だった。サラミソーセージのように細かく切り取った現場映像分析資料のほか、匿名で音声を変えたソウル大病院の医師を名乗る人物の「証言」まであった。

 その上で高度な訓練を受け、事前練習まで行った犯人が李代表の命を危険にさらすことなく、大きな傷もつけずに騒ぎだけを起こすショーを演出したのではないかというニュアンスを漂わせた。「命を失わない自作自演襲撃事件」という仮定は最大の受益者が李代表本人であるという前提があったために興味深いものだった。形勢を逆転する同情論を自分たちで呼び起こそうとしようとしたのではないか、と一時はもっともらしく聞こえたはずだ。

 しかし、私は音声を変えた匿名医師の話よりも実名と顔を公開したソウル大病院の執刀医を信じる。自作自演を実現するためには、襲撃現場と李代表の傷を直接調べた救急隊員や警察官数十人、釜山大病院の医療スタッフ数十人、ソウル大病院の医療スタッフ数十人、彼らを取材した現場記者数百人を「100%」抱き込むか、だませなければならない。そんなことは不可能だ。陰謀論者は4カ所の現場にいなかった人々だ。

 最も重要な現場証言は李在明代表本人だ。本人が証言して説明すればいい。国民がこれ以上消耗的な陰謀論に巻き込まれないように、最も迅速に論争に終止符を打てるのは李代表しかいない。

キム・グァンイル記者

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