▲イラスト=UTOIMAGE

 英国の公共の場で自身のストリート・ピアノ演奏を撮影していたピアニストのユーチューバーに対し、中国人観光客たちが「顔が出ることを望まない」として撮影しないよう要求した。ユーチューバーが「ここは英国だ」と要求を断ると、中国人たちは声を荒らげて激しく抗議した。ユーチューブのチャンネル登録者数219万人を抱えるこのユーチューバーの動画は急速に拡散され、ネット上では中国人観光客たちの無理な要求が波紋を呼んでいる。英紙デイリー・メールが23日(現地時間)に報道した。

 報道によると、ピアニストでユーチューバーのブレンダン・カバノー氏は19日、ロンドンのセント・パンクラス駅でストリート・ピアノを演奏した。この様子は彼のユーチューブ・チャンネルを通じて生配信された。

 楽しいピアノ演奏に、通りかかった人たちは足を止めて耳を傾けたり、カバノー氏を撮影したりした。足を止めた人々の中には、手に五星紅旗(中国国旗)を持った中国人観光客のグループもいた。

 中国人観光客のうち、1人の女性がカバノー氏に近づき、「私は中国のテレビで働いている。カメラに私の姿は写っているのか」と尋ねた。カバノー氏は「よく分からないが、何か問題があるのか」と聞いた。女性は「だめ、だめ(No,No)。私たちは中国のテレビで働いている。公開できない」と言った。

 すると、そばにいた中国人観光客の男性が「基本的にあなたがどんなことをするにしても、私たちの顔がテレビに出てはいけない。あなたの演奏はとても良かった」と言った。カバノー氏が「では、私はどうすればいいのか」と聞くと、男性は「ただ撮影するな」と言った。そして、カバノー氏に「あなたのせいではない。私たちのミスだ」としながらも「法がそうなっているから仕方ない」という話を繰り返した。

 カバノー氏は「公共の場なので撮影が可能だ」と、法的に問題がないことを説明した上で、「私たちはイギリスにいる。中国にいるのではない」と反論した。

 論争は長引いた。中国人観光客のうち、帽子をかぶった女性は「私もイギリス人。でも、私の顔が公開されることは望まない」と話した。カバノー氏は「ではなぜ中国国旗を持っているのか」と聞き、彼の手が国旗の方に伸びた。すると、中国人観光客の男性が「なぜ彼女に触るんだ。触るな!」と怒鳴った。驚いたカバノー氏は後ずさりし、「旗に触った」と言った。しかし、男性は「あなたは彼女と同じ年齢ではない。触るな」と叫んだ。

 とうとう警察官まで介入することになった。中国人観光客は男性警察官に「カバノー氏は自分たちを撮影した。動画を削除してほしい」と言ったが、警察官は「ここは公共の場所だ」としてこれを拒否した。だが、女性警察官は「携帯電話を下ろせ」とカバノー氏に撮影中止を要求した。さらに、後で動画をカバノー氏のユーチューブ・チャンネルにアップロードしないよう要求した。

 このすべての状況は生配信され、カバノー氏のユーチューブ・チャンネルでそのまま公開された。23日現在の再生回数は360万回を超えている。これを見た人々は「一部の人々がこんなにもばかげて見えるとは情けない。強硬な姿勢を貫いてくれてありがとう」「言論の自由を守ろうとしたことに、お疲れさまでしたと言いたい」「私は中国人だが、全面的にあなたの味方だ。彼らが取った行動、特に怒鳴った男の行動は話にならない」などのコメントを寄せている。また、「女性警察官は規則を破った。あなたの権利を擁護するのは正しいことだ」という意見もあった。

 カバノー氏は22日、テレビのトーク番組に出演し、「英国では公共の場で撮影することは完全に合法だが、観光客に『ここは中国ではない』と言ったとの理由で『人種差別主義者』だと言われた。人種差別主義者という言葉に、英国の警察は(態度を)軟化させた」と話した。

 そして、「私が主張だけしたとすれば、人々は信じなかっただろう。生配信されたので全世界がこの場面を見ることになった。間違いだらけのコメディーだったが、愚かな規則と権威主義、これに対抗しなければならない英国文化について問題を提起した」と語った。

イ・ガヨン記者

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