経済総合
韓国の共通テストから除外される「工学の言語」微積分Ⅱ…先端技術に不可欠(下)
■未来の先端技術に欠かせない活用
現在われわれの生活に微積分が適用されていない分野はないと言っても過言でない。特に先端科学技術分野である自動運転と人工知能(AI)、マシンラーニング(機械学習)などは、微積分を知らなければ開発が不可能だ。例えば、自動運転車が追突や衝突などを避けるためには、微積分を使って時間とともに変化する外部の動きを分析しなければならない。宇宙船や人工衛星の軌道と速度計算、惑星の動きなどの天文学研究にも同じことが言える。
韓国の看板産業である半導体にも微積分は欠かせない。「0」と「1」で表現される半導体の設計が正確にできているかを確認する際に、微積分が使われる。KAIST電気・電子工学科のキム・ジョンホ教授は「半導体の作動原理が微積分で表現されるため、これを知らなければ半導体の設計などを扱うことはできない」と説明する。
宇宙航空や医療などに活用される3次元(3D)プリンティングも、微積分を活用したケースだ。3Dプリンティングは「一層ずつ積み上げながら物体を作り上げる技術」が基本概念だ。微分を通じて複製する物体を非常に薄く切断して分析した後、積分でこの厚さを底辺からてっぺんに至るまで一層ずつ積み上げて物体を作り直すのだ。3Dプリンティングで作った物体を顕微鏡で拡大すると、曲面に見える部分が実は微細な階段状となっている。極度に細かく切断し、積み上げたことが分かる。
経済や環境、医療、芸術などにも、広範囲にわたって微積分は応用されている。新型コロナウイルスによるパンデミック当時、防疫対策を立てるためには感染者数と集中治療の規模の変化を予測しなければならなかったが、微積分のおかげで「コロナ拡散モデル」を計算することができた。気候の変動と温室効果ガスの排出量に伴う大気変化、貯水池の水量やダムに加えられる圧力なども微積分で推算できる。体積の大きい物体だけでなく、非常に小さな空気や水の粒子を分析する際にも微積分は有効だ。映画で水がこぼれるシーンなどをコンピューターグラフィックで製作できるのも、微積分のおかげだ。大韓数学会のパク・チョンイル会長は「微積分は21世紀の全てのデータを分析し、モデルを作る際に必要だ」と話す。
ソウル大学工学部のホン・ユソク学長は「第4次産業革命とAI時代に備えるためには、ファンダメンタル(基礎体力)が最も重要だ」とし「(基礎体力である)微積分の教育を(高校の過程で十分に)受けることができなければ、(未来産業の準備は)蜃気楼(しんきろう)と化してしまう」と警鐘を鳴らす。一方、教育界の関係者は「医大志望の小学生クラスなどでは小6から微積分を学ぶなど、学習への負担が増しており、これは学校外教育費の増加につながっている」とし「いくら微積分が重要だとしても、学校外教育費の行き過ぎた支出は低出生の原因として挙げられるのではないか」と主張する。教育部は「微積分Ⅱ」が修能試験から省かれても基本的な「微積分」は試験に盛り込まれており、微積分Ⅱも学校で学ぶことができると説明した。
柳智漢(ユ・ジハン)記者、チョ・ユミ記者、オ・ジュビ記者