「60代男性警備員に対して一方的に暴力を振るって気絶させ、物議を醸した10代の高校生を捕まえ、説教した」と主張する動画が公開された。インターネット上で盛んな「私的制裁」コンテンツに対する危険性が相次いで取りざたされている中、この動画はネットユーザーたちの間で大きな反響を呼んでいる。

 動画投稿者A氏は14日、写真交流サイト(SNS)「インスタグラム」に「60代男性警備員暴行犯を捕まえました」というタイトルの1本の動画を投稿した。

 屋外で撮影されたこの動画を見ると、1人の少年がひざまずいて両手を後ろにしたまま、頭を下げている。この少年は先日、60代男性警備員を暴行した少年と推定される。周りにはA氏ともう1人の男性が立っている。2人は声を荒らげて、ひざまずいた少年を叱っている。

 まず、A氏らが「なぜおじいさんを殴ったのか」と言うと、この少年は「おじいさんが先に殴りました」と答えた。これに対してA氏らが「先に殴ってきたらお前もおじいさんを殴ってもいいのか?」と問い返すと、少年はかしこまった声で「いいえ!」と答えた。

 この様子を見ていたA氏は「大きな声で言え!」と怒鳴りつけた。すると、少年は「申し訳ありません」と大声で言った。また、A氏らが少年の両親に言及してたしなめ、「しっかりしろ、××××。これからはちゃんとするのか? しないのか?」と言うと、少年は「これからはしません」とはっきり答えた。

 この動画を公開した後、A氏はコメントで、「私もきちんとした生き方をしてきたわけではないが、悪いヤツがもっと悪いヤツを捕まえたと考えてほしい」と述べた。

 ただ、動画の中の少年が本当に60代男性警備員に暴力を振るった少年と同一人物なのかどうかは確認できていない。この点に対して一部ネットユーザーが動画真偽に疑問の声を上げると、A氏は「動画捏造(ねつぞう)疑惑は加害少年側の主張」という言い方で答えた。

 この動画には15日現在、「いいね」が19万件以上付いている。ネットユーザーたちは「いいことをした」「警備員さんの所に連れて行って、ひざまずかせてほしい」「これこそまさに真の教育だ」などのコメントを寄せている。

 このように、最近は動画共有サイト「ユーチューブ」やインターネット・コミュニティー・サイトなどで騒動になった事件の当事者の個人情報を公開するコンテンツが広まっている。一部から「すっきりした」という声がある一方で、「法の枠を超えた私的制裁によってまた別の被害を引き起こす恐れがある」という指摘も絶えない。

 警察によると、12日午前0時ごろ、京畿道南楊州市の商業ビル内で、少年がビル警備員の60代男性に対して暴力を振るったとのことだ。現場に一緒にいた少年の友人たちがこの様子を撮影した動画をインスタグラムに掲載し、事件が公になった。

 警察は少年を傷害容疑で立件した。当初、60代男性は「処罰を望まない」と言っていたが、警察は動画の中で60代男性が約3秒間気絶していたことを根拠に、少年に対して傷害罪の適用が可能だと判断したとのことだ。

キム・ジャア記者

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