【ソウル聯合ニュース】韓国大法院(最高裁)は11日、徴用被害者の遺族が日本製鉄(旧新日鉄住金)を相手取って損害賠償を求めた訴訟の上告審で同社の上告を棄却した。原告に総額約1億ウォン(約1100万円)の賠償金支払いを命じた下級審の判決が確定した。

 被害者は1943年3月、韓国西部の全羅北道・金堤から徴用され、日本製鉄八幡製鉄所で強制労働をさせられた。月給は全く受け取れなかったという。その後、44年4月に日本軍に配属となった。終戦後に帰国し、2012年に死去した。遺族は15年5月に訴訟を起こした。

 今回の訴訟は、被害者の賠償請求権を初めて認定した12年の大法院判決に勇気づけられて別の被害者らが起こした、「2次訴訟」とくくられる訴訟の一部。大法院は12年、日本製鉄を相手取った損害賠償請求訴訟で審理を差し戻し、険しい道のりを経て18年に初めて大法院で日本企業への賠償命令が確定している。

 大法院は、18年に初めて日本企業への賠償命令が確定するまでは被害者が日本企業に対し権利を事実上行使できない障害理由があったとして、訴訟を提起する権利の消滅時効が成立しているため賠償責任はないとする日本企業の主張は妥当ではないと判断した。

 大法院は先月21日以降、徴用被害者が起こした同種の訴訟で相次いで勝訴判決を下している。

 ただ、日本企業は賠償を強く拒んでおり、遺族が賠償金を受け取れる可能性は高くない。

 韓国政府は、日本企業に代わって政府傘下の財団が賠償金と遅延利子を支払う方針を示している。

 しかし、被害者側の一部は日本企業が賠償の強制執行停止のために裁判所に預けた供託金を賠償金として受け取る意向を明らかにし、受け取りを求める手続きを進めている。

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