【ソウル聯合ニュース】韓国軍は8日、北朝鮮軍が前日まで3日連続で黄海上の韓国の西北島しょ付近で砲撃を実施したことにより、2018年の南北軍事合意に基づく海上の緩衝区域が事実上消滅したとの認識を示した。韓国軍の計画に基づき海上で射撃訓練を再開する方針も示した。

 南北は2018年に結んだ軍事合意に基づき、海上での武力衝突などを防止するために海上の南北軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)付近の一定区域を海上緩衝区域に設定した。地上では軍事境界線から南北へそれぞれ5キロまでを緩衝地帯としている。

 韓国軍合同参謀本部の李誠俊(イ・ソンジュン)広報室長はこの日、定例記者会見で「北は軍事合意に約3600回違反し、黄海上で3日間、砲兵射撃を実施した」としながら「(海上の)敵対行為の中止区域はもはや存在しない」と述べた。「海上の敵対行為中止区域の効力が消えたのか」との質問に、国防部のチョン・ハギュ報道官も「そう見ていいだろう」と答えた。

 李氏は、韓国軍も海上緩衝区域で射撃を定期的に実施する計画かと問われると「わが軍は西北島しょ一帯で敵の行為一つ一つに対応するというよりは、わが軍の計画に沿って射撃訓練を実施する」と述べた。

 北朝鮮が5日に海岸砲を中心に200発以上の砲撃を行ったのに対し、韓国の海兵部隊は自走砲K9や戦車砲などを動員して射撃した。北朝鮮の6日と7日の砲撃についてはほとんどが北朝鮮側地域に向けたものだったとして、対抗する射撃は行わなかった。

 一方、「陸上での敵対行為中止区域も無効になるのか」との聯合ニュースの問いに、韓国軍関係者は「政府として議論が必要な部分」と即答を避けた。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長は、6日は砲撃をせず爆薬を使った「欺瞞(ぎまん)作戦」を展開し、これに韓国軍が欺かれたと主張している。

 李氏は「わが軍は北の軍の発砲と砲射撃を区別できる能力を持っている」と述べ、それぞれの状況を捉えた上で砲射撃の回数と場所に言及したと説明した。金与正氏の談話については「民心離反を防ぎ、内部を結束させるため」との見方を示し、心理戦などにより韓国内部にあつれきを生じさせる狙いもあるとした。

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