事件・事故
李在明代表をヘリでソウル大学病院に移送…釜山大学病院「共に民主党から要請あった」
緊急医療ヘリは、患者の生命が寸秒を争うときにのみ、限定的に利用されるのが一般的だ。ヘリコプターの使用には数百万から数千万ウォン(数十万-数百万円)の税金が投じられるからだ。
2日に釜山で襲われた、韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表がヘリコプターでソウル大学病院に移送された件を巡り、論争が続いている。李代表は、襲撃に遭ってから5時間後、ソウル大学病院で血管の縫合手術を受けた。一刻を争う状況であれば釜山大学病院で縫合手術を受けるべきだっただろう、と医師らは語る。ところが李代表と共にヘリコプターに同乗していた消防関係者は3日、「(ヘリの機内で)人工呼吸器など応急措置は取らなかった」と語った。極めて危急の状態ではなかった、という意味だ。
ヤン・ソングァン議政府白病院家庭医学科長はこの日、本紙の電話取材に応じて「極めて急を要する状態ではないのにヘリコプターに乗せて移送するのは、一般的な場合では不可能ではないだろうか」としつつ「圏域外傷センターは、釜山大学病院が韓国トップクラスであるにもかかわらず、李代表は(圏域外傷センターもない)ソウル大学病院に行った」と指摘した。さらに「極めて急を要する状態ではない患者もヘリに乗せ始めたら、従来の救急医療システムに問題が生じかねない」と語った。ヨ・ハンソル束草医療院応急医学科長も同日、フェイスブックに「患者側の事情で転院を希望する場合、119ヘリが利用されることに何も問題はないんでしょうか? 一般市民も今後、このように119ヘリを利用できるんですか」と書き込んだ。
李代表のヘリ移送に関連して釜山大学病院の関係者は3日、「当時、民主党の党職員が先に『ソウル大学病院へ行きたい』という話をした」と明かした。釜山消防本部の関係者は「釜山大学病院が李代表のヘリ移送を要請し、ソウル大学病院は消防庁にヘリ移送を要請した」とし「釜山消防本部と消防庁が協議して最終的に釜山本部が李代表のヘリ移送を決定した」と語った。民主党側がまず李代表のヘリ移送を要請し、これを釜山大学病院とソウル大学病院が受け入れ、釜山消防本部が最終決定したことを意味する。
地方医療不信論争も起きている。釜山の応急医学科のある教授はこの日、「野党代表も地方医療を信用してない、ということを示すことになる」とし「有力政治家からしてこんなことだから、地方の患者がソウルの『ビッグ5(5大病院)』に集まり、地域医療が駄目になるのだ」と語った。2022年、ソウルの主な五つの病院で診療を受けた非首都圏の患者数は71万3284人に達し、13年の50万425人から42.5%も増えた。李代表は、大統領選候補時代に「地方にも優れた診療陣と研究力量を備えた国立大学病院がある」と言っていた。
シン・ジイン記者、オ・ジュビ記者