▲写真=UTOIMAGE

 2024年元日の朝、会社員のイムさん(55)はメッセンジャー・アプリケーション「カカオトーク」の「カトク」「カトク」という着信音で目が覚めた。数十人が入っている同窓生のグループトークルームや職場の同僚のグループトークルームなどから相次いでメッセージが届いたのだ。一人が「あけましておめでとうございます」とデジタル年賀状や初日の出の写真を送ると、他の人たちも「あけましておめでとうございます」「新年会をしましょう」と相次いで返信する。新年のあいさつがあまりにも多いため、あるグループトークルームからは、何の返信もせずに退室してしまう人もいた。イムさんは「オンラインでやり取りされる新年のあいさつは公害並み。形式的なあいさつだが、返信しないと礼儀知らずだと決めつけられたり、オフラインの集まりに呼んでくれなかったりするのでは…と思ってしまい、返信しないわけにはいかない」と語った。

 オンラインの新年のあいさつを、ポータルサイトや交流サイト(SNS)などで聞く人もいる。大学生のコさん(23)は「チャットGPTに新年のあいさつをいくつか教えてもらったので、真心や誠意がこもっていなくて申し訳ないという気もしたが、両親・友達・先輩や後輩など相手に合わせて送った」と話した。

 これについて、延世大学心理学科の李東亀(イ・ドングィ)教授は「大人数のグループトークルームにデジタル年賀状を送ったり、新年のあいさつをしたりすることは、返信やあいさつを強要する『集団圧力』として作用し、負担になる恐れがある。グループトークルームの参加者がお互いに気を遣わないようにルールを決めたり、親しい個人同士だけで新年のあいさつを交わしたりする方法などが考えられる」と述べた。

 オンライン上での新年のあいさつに対して拒絶反応が起こっていることから、以前のように手書きや手作りの紙の年賀状への関心も高まっている。会社員のハンさん(28)は「紙にペンで直接書いた年賀状を今回初めて受け取った。『旧年中はありがとうございました。新年もよろしくお願いします。ご多幸をお祈りします』という一般的な内容だったが、手書きで、インクがにじんでいる部分もあり、情感にあふれていて人間的だった」と言った。

 一方、1日午前、ソウル市銅雀区に住むチョンさん(48)のスマートフォンはショートメッセージの着信音がひっきりなしに鳴った。今年4月の韓国国会議員総選挙を前に、政治家たちから活動報告会や出版記念会を知らせるメッセージが届いたのだ。チョンさんは「私が電話番号を教えたこともないのに、この年末年始の3連休に受け取った政治家からのショートメッセージは数十件を超える。午前6時からショートメッセージが送られてきため、朝の時間を邪魔された」と語った。

 全羅南道在住のイさん(41)は「私が住んでいる地域と何の関係もない政治家たちもショートメッセージを送ってくる。こういうものを受け取るとイライラする」と話した。また、京畿道竜仁市に住むキムさん(29)は「ある政治家のショートメッセージを着信拒否にしたのに、すぐに別の電話番号からまた送ってきた。こうしたショートメッセージを受け取ると、その政治家が嫌いになる」と言った。

 このような状況には、ショートメッセージの発送代行業者も関与している。これらの業者は「時と場所を選ばない選挙運動!」などの広告フレーズを前面に押し出して営業している。 ある業者の関係者は「候補者の顔写真を最大10枚までショートメッセージに添付できるし、選挙演説現場の動画も撮影して一緒に送信できる。もし写真・動画の送信に失敗しても、文字だけでも必ず送る」と語った。

ク・アモ記者、チョ・ジェヒョン記者

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